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2017.10.02

【芝居】「3sheep」ユニークポイント

2017.9.23 19:00 [CoRich]

静岡に拠点を移したユニークポイントは、まつもと演劇祭に地方劇団のビジター枠として参加。上土ふれあいホール

期末の教務会議。生徒の進級可否を決めるために三人の教師が集まる。この学校に勤めはじめて一年が経った女性教諭、学校で期待されている野球部の顧問をしている男性教諭、主任らしい年上の男性教諭。

会議室の一室を思わせるテーブル、待っている女性。公演場所となっている上土ふれあいホールはじっさいのところ、天井も低く会議室のようなスペースなので、この物語にはよくフィットする演目なのです。

点数がだめでも出席日数や課題、補修など考えられるあらゆる方策でなるべく進級させるようにしている学校。かならずしも進学校とか優秀な生徒ばかりじゃないいわば中庸な学校の今の姿が徐々に浮かび上がる描き方は手慣れた感じ。最近学校の近くに引っ越してきたのに今更野球部の練習がうるさいと文句をつけてる近隣住民なのにひたすら低姿勢に接することの不満もまた今時の学校の姿。

何人かの生徒の評価を進めるうち、ひとり、自殺した生徒がいることが明らかになる後半。新任ではないとはいえ、勤めて一年にして担任がそうなってしまった女性教諭。学校も教師もことさらに非難されることもなく表向きは遠くに引っ越したと説明されていること。やがて言いよどみながらその背景が開かされるのは不謹慎ながらじつにスリリングな体験です。

女性教諭への恋心を打ち明けられてそれを断ったこと、それを語らずに秘めていたこと、抱えきれず打ち明けてしまうこと。 引っ越したことになっているのに生徒たちはだれも手紙すら書こうとしない、いじめなどはなかったことになっているけれど、もしかしたら孤立していたかもしれない生徒、その向かう先が恋心や告白だったかもしれないこと。自殺してしまった生徒はもう救えないけれど、書類に書く担任所見は葬式というか弔辞のようなものだ、という女性教諭の思いつきはやがて、その生徒に成り代わりほかの生徒たちに手紙を書くといいだします。終幕告げられる妊娠と産休は、今年受け持ったクラスとしばらく向き合うということで、新しく生まれる命と失った命の対比。

もっとも、この会議が開催されるほどの年度末、突然の産休の宣言はせっかくまとまった時間割や担任の構成のやり直しで、おめでたいけれどため息のでる現場の本音がかいまみえるよう。

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