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2017.10.15

【芝居】「光の帝国」キャラメルボックス

2017.10.7 18:00 [CoRich]

65分だった2009年初演作を100分に拡大して全国ツアーとして上演。 5日までシアター1010のあと、 8日まで たましんRISURUホール(立川市市民会館)。 そのあと、埼玉、愛知、大阪、広島、鳥取、新潟までの全国ツアー。

常野(トコノ)という特殊な能力をもった人々の物語を短編連作として書かれたものの中の一本。

初演よりは軽快になった感じがしますが実は初演の印象がわりと薄かったワタシです。記憶力が優れていることと、人の記憶を「しまう」不思議な能力を持つ家系ということのつながりがわかりにくいのは初演と同じ印象。記憶力はもともとの能力で、それが成長につれて「しまう」能力が発現するということなのかな、と思っています。 引っ越しばかりでなかなかできない友人。親とは違う距離感で居られる年の離れた近所の医師が「ともだち」 になること。なかば巻き込まれる形で、その医師の最後に立ち会うことになって、その男の人生を「しまう」ことの初体験を迎えること。医者の長男は医師にはなりたくなくて映画監督になりたくて、父親の元を訪れていたのは金の無心だけれど、元で父親が監督志望の長男をずっと見守っていた(のに隠していた)ことが「しまった記憶」のきっかけで長男にきちんと伝わること。

末っ子の成長譚と映画監督になる夢を持っていた男が父親からの想いに気付くというのがメインの物語なのに、 謎の組織から追われることになる過去の先生の話や父母が命を落としたりといった、すこしばかり毛色の異なるミステリっぽい要素が入り込むのに、そのこと自体は解決されないのは少々の違和感があります。もちろん、特殊な能力故に迫害を受けるという大枠の中での連作の中の一つである原作の位置付けをきちんと描いたがゆえなのでしょうけれど。

少しヒールな監督を演じた鍛治本大樹のひねた厳しさはもう安定感の域へ。今作で何より印象を残すのは、近所の医師を演じたゲスト・原口健太郎で、家族とも学校とも違うサードプレイスとしての「近所のおじさん」っぷりが実説得力を持っています。

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