【芝居】「カーテン」日本のラジオ
2017.10.7 14:00 [CoRich]
9日まで三鷹市芸術文化センター星のホール。100分。
本土との対立が厳しくなっている島の国立劇場が占拠されている。客席に座らされ布で顔を覆われた人質たち。膠着状態は続き、犯人たちは動画を投稿して主張を繰り返している。外国から招聘されてきていた演出家と通訳、劇場スタッフなどが人質になっている。制圧までの4日間。
星のホールを逆使いし、舞台上に客席を設置し、通常の客席を「占拠された劇場の客席」に見立てて描かれます。役者は基本的にずっとその場にいるけれど、顔に布をかけているときはいないもの、というフォーマットで、島出身、本土出身で混在する占拠する人々、時に脅かし、時に少しの会話をして、緊張感はあるけれど、どこかゆっくりとした空気。
劇場の占拠とそれが数日にわたったあと制圧されたという事実と、そのぼんやりとした人々の背景は語られるものの、物語のきちんとした背景はほとんど当日パンフレットにゆだねられます。 細かな会話が断片的に交わされ、いくつかの人々のつながりは描かれるものの、物語を描くこと自体よりは、そういう人々の過ごした緊張感と空疎さが同居する時間の経過を描くことに主眼がありそう。 作家が「カーテンの元ネタ」と題して千秋楽後に連続ツイート(ここから)しているのは文庫本の解説のようで楽しいし、そのあとのいくつか(twitter)なども、そういう意図で描かれたのだということがわかります。まあ正解とかどうとかではなく。物語の運び自体には主眼がなくて、背景の細かな描き込み、あるいはボンバーマンのような人の動きなど、要素を並べて描こうとしていることはかなり成功しています。 不思議と眠くなるようなことはないのだけれど、が、そこで何が描かれたのか、ということを掴みたい気持ちになるのもまた、私の偽らざる気持ちだったりするのですが。
テロリストのリーダーを演じた今村圭佑は終始高いストレスに苛まれた男という高テンションのちょっと凄い造形。それを唆すかのような年上の男を演じた吉岡そんれいの不穏さが重奏低音のようにジワジワと効きます。島の宗教的象徴の三人姉妹を演じた三澤さき、松本みゆき、藤本紗也香のフラットさは人々が信じる芯な雰囲気、劇場職員を演じた安東信助、田中渚、木村みちるのコミカルさがワタシには見やすいリズム、招聘された演出家を演じた横手慎太郎のどことなくクズっぽい感じもやけにリアル、振り回される通訳を演じた太田ナツキがちょっと楽しい。
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