【芝居】「真空回廊」空想≠カニバル
2017.9.24 10:00 [CoRich]
長野市を中心に活動する劇団、まつもと演劇祭にホーム枠で参加。 ピカデリーホール。
米国の技術での宇宙開発が基本の文科省管轄のJAXAと対立する、防衛省管轄の有人宇宙開発機能UUKKは日本独自の技術で有人宇宙飛行を目指すが、成果も思わしくなく省庁間の競争に敗れ解散が決まった。残り少ない時間の中、倉庫の奥で発見したのは、太平洋戦争時代に開発された特攻兵器、桜花の機体だった。
実際の効果はともかくロケットの技術で作られた桜花という史実をベースにしつつ、人を乗せる機体が人を生きて帰還させるべきだという一人の技術者の想いが強化されたコクピットを持つ機体となり残っていたというファンタジーを織り込みます。特攻兵器の遺産という悲惨な題材を有人宇宙飛行に結びつけつつポップに描くバランス。生半可な覚悟では手を出しづらいところだけれど、エンタメとして引き込まれるパワフルな舞台になっています。 特攻という史実と思想の重さに対して語り口が軽すぎではないかと思わなくはないのですが、少なくとも舞台を観ている最中は帰還という一粒のファンタジーを盛り込み、題材に対する敬意も感じられて、楽しんだアタシなのです。
指で飛行機の形をつくり、ごっこ遊びよろしく空中戦を描いたり、あるいは早いビートの曲にのせて語ったり、時節柄の北朝鮮ネタを盛り込みつつ。あるいは唐突に現れる公家風の男がテレビアニメのアイキャッチのように現れたりと、盛りだくさんの遊び心。これもまた惑星ピスタチオ的だったり、あるいは柿喰う客のような雰囲気で登場人物の将来の夢を紡ぎ出しているのです。
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