【芝居】「パンクドランカー」ラゾーナ川崎プラザソル
2017.10.21 14:00 [CoRich]
2015年初演作を改訂再演。私は初見です。黒白の2バージョンで 28日までラゾーナ川崎プラザソル。110分。
一度は売れかけたのに解散して15年が経ったバンド。ホームとしていたライブハウスはオーナーが居酒屋に変えて営業を続け、メンバーの一人もアルバイトをしている。ほかのメンバーはそれぞれの道を歩んでいる。
ある日、メンバーの一人が当時のバンドメンバー、あるいは対バンだったバンドメンバーを集める。うやむやのうちに解散してしまったバンド、もう一度集まって解散ライブを開きたいのだという。
世間に反発してというよりはイキオイでパンクバンドをつくり、でも夢は叶わず年月が経って、という物語。
あのときに刺さったままだった棘、いい歳をして、あるいは時間が経ってしまったから凝り固まっていたものだからぶつかり合うこと。久々に会ってそれなりに大人になっているから探り探りしながらの序盤は正直にいえば芝居としてはぬるい感じだけれど、久しぶりに会う距離感はワタシの実感にも近いリアリティで若くはない作家、演出だからこそ描ける距離感だと思うのです。
正直にいえば、若い頃はメンバーが奪い合うほどあんなに可愛かった女の子が、今は見違えるほど太っているからすっぱり諦める、しかも当時も実はビッチだったという描き方には少々違和感を感じます。当の本人はあっけらかん、というキャラクタに作られているのでそれが酷いこととは感じにくいし、可愛いから欲しいのは実際にはもちろん真実だけど、物語として描くなら少なくとも彼女がもっと幸せに見えてほしいなと思ったりもするアタシです。
両バージョンで共通に主役を演じた酒井俊介、表向きは笑顔で腰が低く大人になっているけれど抱え込み、拗らせている男、終幕10分の爆発力でそのダイナミックレンジをみせつけて魅力的。 軽口をたたく周りの男たちも魅力的に造形されています。とりわけ対バンのボーカルを演じた山村真也はMCシーンの軽さが思いのほか魅力的。軽いといえば、オーナーを演じ作家も兼ねる緑慎一郎は見守ってる男の格好良さと、一人でボケ倒す楽しさ。実はけっこう役者としての彼も好きだったりするワタシです。
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