【芝居】「名誉男性鈴子」笑の内閣
2017.10.15 15:30 [CoRich]
2015年初演作の再演。ワタシは初見です。 9月の北海道公演のあと、16日までアゴラ劇場。このあと京都。100分。
市長の国政出馬に伴い後継と指名され、その市で初の女性市議が市長選に出馬する。女性の社会進出を謳うが選挙事務所に出入りする前市長や支援者はセクハラも女性のお茶くみも普通のこととしていて、彼女もそれを受け入れている。
彼女には子供が居てニートのまま働かない長男は選挙事務所に出入りして憎まれ口をたたく。真面目に学校に通っている次男も無断欠席のあと大阪で女子の同級生と補導され、理解を示したかにみえた母親だが、相手が児童養護施設の入所者で、妊娠しているという話を聞き、子供に性教育をしている施設が問題だと騒ぎ出す。その行動に問題を感じる後輩の女性市議は対抗して出馬することを決める。
首相の突然の解散によって図らずも衆院選まっただ中での東京公演に。アゴラ劇場の外壁にべたべたと張り出された候補者ポスターや投票依頼を模した葉書が、私たちの現実の生活から地続きに劇場の中で語られる物語につながります。
演説としては自立し活躍する女性を謳いながら、その実、家庭や男に従属すべきだという心根。選挙事務所という半公共だけど自分のテリトリとう場所を設定することで、候補者自身がこういう人物だとあからさまに見えるのはうまい設定だし、いわゆるウグイス嬢アルバイトとしてはいった女子大生が違和感感じまくるという序盤もわかりやすい。
あまりにもあからさま、シンボリックにすぎる「名誉男性」の人物像は、自分の息子と一緒に補導された女子学生が親から引き離されて暮らす児童養護施設からだと聞き、差別感情をむき出しにヒートアップする中盤。 後援者たちもこれでは勝てないと離れ、新たな対抗として少し若い女性市議が現れます。養護施設のありかた、とりわけ性教育のありかたを対立軸にしているのに 奪い取った後援者ということは結局のところはそれまでと同じような考え方に「染まって」しまうという終盤、ちょっと絶望的な気持ちすらなるけれど、なるほど、こうやって「名誉男性」が再生産されていく、というしくみを目の当たりにするのです。
引退する市長を演じた石原正一が見事な貫禄で印象的。
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