【イベント】「グランメゾン・アカシア」(月いちリーディング / 17年10月)
2017.10.14 18:00 [CoRich]
本編100分。休憩を挟んでディスカッション、全体で3時間なのはいつものとおり。
妻と別れた男は娘と二人暮らしだが、再婚相手を見つけその娘と一緒に4人で同居を始めて3ヶ月が経っている。男の娘は本当の母親が戻れなくなると思って再婚に反対し、学校サボり気味で担任が家を頻繁に訪ねている。
入籍しそのまま新婚旅行に行こうと準備をしている一週間前。大学に進学していた息子が久し振りに実家に顔を出すが、再婚を決めたことを聞いておらず驚くが、なぜか実家に居付き何日も帰らない。再婚相手の女性の娘は専門学校に通っているが、大学まではだしてやりたいと、男との暮らしに期待を抱いている。
バツイチ男女、その子供たち。それぞれの別れた相手も交え、それぞれの結婚観からそれぞれの人物を描きます。全面的ではなくても結婚を娘の将来も含めて生活を向上するためのブースター捉えていたり。母親を失いたくないという繊細な気持ちだったり、あるいは離婚後よりを戻そうとしながら娘の養育費を出さない利己的なことだったり。
とりわけ気になるのは「どうせバレるとわかっていても結婚するのだから男が養わなきゃというマッチョイズム」。そうあるべき、という規範はワタシだってとらわれがちではあるけれど、ここまであからさまに、というのはなかなかに常軌を逸しています。 結婚まで秒読みのこの段階でもこの嘘をつき続けるだけの原動力というか。そうはいっても、三面記事で見かけたりもするからなかなか事実は奇なり、なわけですが。
立場は違えど、男たちはわりとふわふわとした感覚で結婚を捉えています。それはロマンティストといえばそうだけど、成長してないということでもあって。いっぽうでは家族という形態にたいする執着であったり、もっとドライに経済的なことだったり。AVの好みがどうにも許せないという、もしかしたら些細なことだけれども、一緒に暮らし或いは結婚するということに対して何を一番に考えるかということのズレが物語を牽引していくのです。デフォルメして描かれるそれぞれの人々は現実味がなかったりあまりに変なところもあるけれど人物によりそってみればそれぞれの人物はごく真面目で、嘘をつくこともふくめてよかれと思ったことを実現することに貪欲であって、(デフォルメを差っ引いて考えれば)もしかしたら存在するかも知れない、という説得力はあるのです。
上演後の議論でも、結婚に対する人物の描き方、みたいな議論が多くて、なるほど芝居を観たあと、戯曲の技術的な問題とはべつにいろいろ話せそうな問題設定が巧いなと思うのです。
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