【芝居】「小竹物語」ホエイ
2017.9.2 15:00 [CoRich]
ホエイの新作は、実際の怪談ネット中継を交えて、そのイベントの舞台裏込み。4日まで春風舎。
定期的に行っている怪談イベント。今回は客を入れずにネット配信を行う初めての試みをしている。主催者の他、常連の怪談アイドル、男装の麗人風の他、一般参加の女、青森からたまたまやってきた主催者の知り合いが怪談をそれぞれはなす。
私にはなじみがないけれど、怪談イベントというのは一定の需要があるようで、ネット界隈では目にします。実際のそれに沿っているかはわからないけれど、ネット中継の現場というミニマムな現場で起きていそうな、ちょっとドロドロだったり突飛だったり、理不尽な暴力を織り交ぜたりした物語。いろんな人が居て、そのすれ違いとか唐突の怖さのようなもの。
小さな地下アイドル的イベント、地下アイドル上がりの怪談アイドル、そのファンから始まって恋人同士らしい主催の男との痴話喧嘩、あるいは初めてとはいいながらちょっと押しが強すぎる感じのトランス系の語り手、木訥とした津軽弁の使い手、あるいは男装の麗人という風体の人気の語り手とか。それぞれの「立っている」キャラクタではあるけれど、それは怪談イベントという枠の中でのこと。何かを表現したいという気持ちだったり、何者かになりたいという気持ちだったが渦巻きつつも、それがメジャーになるなんてことはおそらくない上昇志向とは明確に違う場所。ネット中継では数人、公開でイベントでもそんなに多くは集まらないのだろうけれど、それは明らかに彼らにとっては「場」であって。そこに拘る気持ちもわかる気がするのです。
この場にでるための金を払うとか、この場に対する認識が食い違っているとか、などのいろいろの齟齬。あるいはこの場の「馴れ合い」のルールの外からそれを脅かすような暴力的で理不尽な男が登場したり。作家・山田百次自身が演じる理不尽な男がフラットで怖いのです。怪談アイドルを演じた菊池佳南は化粧の過程もオンエアな最中のアイドルっぽさもそれらしく楽しい。男装の麗人を演じた和田華子の決めポーズがいちいち楽しく、トランス状態のOLを演じたある種のキチガイ感の迫力も凄いのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
- 【芝居】「氷は溶けるのか、解けるのか」螺旋階段(2024.08.27)
- 【芝居】「BIRTHDAY」本多劇場グループ(2024.08.20)
コメント