【芝居】「無風」オイスターズ
2017.9.23 11:30 [CoRich]
まつもと演劇祭に愛知から参加するビジター。 まつもと市民芸術館 小ホール。60分。初見の劇団かと思えば観てました (1)と、同じ演目を別団体の上演で。
女が現れる。居ない人から話しかけられて、無い授業に向かう。窓も廊下も幼なじみも演劇部も兄弟も何にもないけれど、は現れ、通り過ぎていく。時に女は増えて新しい誰かに出会う。話しかけられた彼女に会いたくて、もっといろんな人に会いたい。
正方形に引かれた線、四隅にドアのような扇型。前半は下手手前の角から一人入り、「ない」づくしでさまざまな描写をして上手奥の角へ抜け、一人が抜けると次の一人で一人語り。 ああ、これは「あゆみ」( 1, 2, 3, 4)のスクロールしていく スタイル、あるいは7人全員で一人を語るスタイルかと思っていると、「ああ、そういうこと」と云った女がふと下手奥角に抜けます。すると上手側の二つの角からそれぞれ一人現れるのです。 この正方形の隣に、また別の同じような場所が繋がっていてそれがきっと無限に、あるいはぐるりとループして繋がっているようなことを云ったりはするけれど、ともかく、この「一人抜けると、一人来る」と「一人抜けて、二人くる」とその派生で「二人一度に抜けると一人になる」というロジックが突然この空間に現れるのです。
ずっと一人だった女「たち」は他人と出会えたことで拍手して喜ぶのだけれど、それがインフレ化していくのもちょっと面白いし、同じような色合いの服を着た女たち、複数集まれば関係から性格が生まれ、それが時にぶつかったり、時に反発したり。複数居るから比較するものがあって初めて性格というのが現れるなんてことに気付いたりするアタシです。
物語という視点だと、「ない」と語り続けた女が、増殖というかこの場に最大の7人まで増え、そしてまた減っていき、ループするように最初のシーンに戻るということと、ロジックを解き明かしながらどうしたいかを云ってみたりということを云うばかりで物語らしいものはあまりないのだけれど、軽やかな語り口、シンプルなロジックだけでぐるぐると進む会話は、まるでピタゴラスイッチの装置を飽きずに観ているかのように不思議な脳内麻薬がでてくるようで、本当に楽しくて、もっといつまでも観ていたいのです。
わりと広い舞台空間、出捌けた役者が反対から姿を現さなければいけないシチュエーションになっていって、物理的に移動してる感じも、舞台ならではのリアルがあって楽しいのです。
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