【芝居】「夕暮れ坂の向こう側」幻想劇場◎経帷子
2017.9.23 12:30 [CoRich]
まつもと演劇祭でも常連のホーム枠の劇団。池上邸蔵。60分。
車いすの男、樟脳船を浮かべたバケツの向こう側には、少年の頃の自分が見える。仲のよかった大阪からの友達は事故にあい、水商売で借金を返していた母親も失った。車いすの男の記憶は曖昧だけれど、夕焼け坂の少し手前の木に埋めたビー玉の記憶がよみがえる。
樟脳船やビー玉といったひとつひとつが大切な少年のころを老いて振り返るノスタルジイ、経帷子節がっつりな一本。借金を背負って懸命に働いても減らない借金、取り立てにくるヤクザもの、シンボリックなアイテムを組み合わせて描きます。
単に老人の回想にとどまらず、若くして命を失った少年が寄り添い話をしたり、老人となった今と、過去の少年時代がバケツの底の向こう側に合わせ鏡になっている一工夫が不思議な世界観を広げるよう。
決してワタシが得意な感じのジャンルではないけれど、こうして毎年演劇祭で変わらず出会えるのは、ここの地にちゃんと根付いてワタシもみんなも年を重ねているということでもあって、それがなんかもううれしくなっちゃうアタシなのです。
夕暮れ坂の向こう側に埋めたはずのたくさんのビー玉、その場所が失われたとしても男の中には間違いなくあの坂がまだあって、その坂からあふれ出す大量のビー玉がカタルシスを生むのです。天井から降ってきたら最高だなぁと思ったりもするけれど、それはそれで、この貴重な蔵の床板がどうなってしまうか心配だったりもするので難しいところ。
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