【芝居】「学園恋愛バトル×3!」だるめしあん
2017.9.10 14:00 [CoRich]
過去に上演した学園の恋愛模様をめぐる短編三作 (1, 2, 3)を古川貴義の演出で上演する企画。11日まで王子小劇場。
月に三人の女を抱くノルマの男と月に三人の男をヤラせないで告白されるというノルマの女が出会ってしまう。互いはそのノルマ達成に向かって対峙する「ムラサメ」
小学三年生、そんな恋も成就させるメール代筆を請け負う親指姫、そこに競合する代筆・小指侍が対決する。気がつけば代筆屋同士で言葉を紡いでいることにみんなが気づき、本人たちもそれに気がつく。「親指姫」
モテとハイソで人気となった学園でひっそりと活動していたアニメ研究会が全国大会で優勝した。オタクの学校だと噂になることを問題視した生徒会はアニメ研究会を迫害する「絶対恋愛王政」
対面の客席の真ん中を貫くランウエイ、赤青のコーナーよろしくロープが張られてたりしてなるほど、バトル。
「ムラサメ」はヤる、ヤられるの関係の攻防を描く生々しい話。作家にとっては一番若い頃に書いたのがこの生々しさだというのが興味深いところ。 血をすって強くなるという妖刀になぞられ、斬り合い高めあうというのはまさに業。そこまで高めあうのにあっさり女が勝つというラストも、あさりとしていてよいのです。
「親指姫」は世を忍ぶ代筆稼業の話。言葉を操る代筆屋を頼んでいる人々だけれど、その実、人々は翻弄されているのに操っている二人は孤独に走り続けるようで、さながら孤独なランナー。そのふたりが惹かれあい、出会うというストリー。 「絶対恋愛王政」は記憶にも新しいポップに描かれる物語。スクールカースト上位下位の間での戦いは、時にスクールカースト上位の生徒会長がラムちゃんコスプレという眼福をコミカルに交えつつ、互いへの敬意を持ちあうのです。
そうなのです、この三本じつはわりとシンプルに同じような話しで、敵味方となった男女が互いに刀を交え戦いを繰り返すうち、互いに敬意を持ち、やがて轢かれ合う話しなのです。それは妖刀になぞられ男女のヤるヤラせないの話しだったり、小学生女子に盛り上がるラブレターだったり、あるいはスクールカーストの中での敬意だったり。作家が書いた順番に上演されているようなのですが、最初の一本があからさまにセックスの話なのに、二本目は小学生女子の恋心、三本目は愛ではなく敬意という流れになっているようで、徐々に解脱してるような流れになっているのがちょっと興味深いのです。当日パンフにあるように、ポケベル、携帯、SNSという通信手段の変遷になっているのも「げんだい」を描く作家のアーカイブゆえの楽しさなのです。
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