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2017.08.07

【芝居】「幸せの標本 完全版」ノックノックス

2017.7.23 15:00 [CoRich]

生演奏と幻燈とのコラボレーションをフィーチャーする初見の劇団。 7月23日までザムザ阿佐ヶ谷。そのあと名古屋、大阪。

部屋いっぱいに植物を植え、ミツバチを育てる女。船長と呼ばれる男も時々訪れる。居心地のいいこの部屋を目当てに出入りするものたちが居るが、女は残り少ない時間で研究に没頭している。

舞台にホンモノの植物を一杯に入れ、舞台奥には大きな白いスクリーン。ミュージシャンたちはその奥で演奏しているようです。幻燈と呼んでいるものは今作においては水を張った水槽に光を通して、インクやプレートを流し流れを作って背景を作ります。

人の言葉を喋ってはいるけれど、犬、鳥、トカゲといった生き物がこの部屋に出入りしてちょっかいを出していること、ここが宇宙船の中で、地上では深刻になっている食糧問題の最後の望みが、絶滅に瀕したミツバチと菜の花を再生し、再び植物が育つ世界つくることを目指している、というSF風味の設定。とはいえ、全体の設定は穏やかでゆるやか、ロハスな雰囲気といってもいいかもしれません。

危機的状況から隔離された船に乗った動物たち、となればノアの箱舟的なモノかとおもえばそうではなく、今作はあくまで「ミツバチ」を育てる人間たちの話しで、いろいろ企みであったりハプニングの要素として動物が現れます。環境問題をミツバチ一点に集約し、そのために必要な菜の花の種子が希少だが、それを鳥が食べてしまうというハプニングは、終幕、それがフンとしで再び芽吹くというハッピーエンドに繋がります。

物語そのものの複雑さや登場人物たちの込み入った関係で見せる芝居ではありません。あくまで穏やかに、語りすぎず、音楽と幻燈とが織りなす全体のライブ感を楽しむのが吉。心地よく時間を過ごすというのもまた芝居の一つの見方なのです。確かに幻燈のさまざまな表現はちょっとビックリするところもままあって。

研究している女を演じた伴美奈子はほぼ出突っ張り物語の背骨をしっかりと支えます。船長を演じた小林至は腰の低いしかし厳つい顔の中年男、という風情の説得力。犬を演じた藤谷みきはちょっとイタズラっぽい感じが可愛らしい。

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