【芝居】「月読み右近の副業」ジャブジャブサーキット
2017.7.30 14:00 [CoRich]
名古屋、大阪を経て 30日まで駅前劇場。105分。咲田とばこの劇団員としてのラストステージ。
テレビに出るほどの有名人だったのに突然引退して 電波も届かない山奥に住む「月読み」の女。若い男の弟子と、どこかで「拾って」きた若い女と暮らしている。 久しぶりに戻ってきた同居人の男、毎日の食材を届ける女、途中の道は土砂崩れで通行止めになりヘリコプターで現れるセンセイと呼ばれる男。 土砂まみれの女が現れるが、特定の誰かにしか見えなかったり、みんなから見えるようになったりと自在に術を使い、若い男女とともに行方不明になる。
和室風に丸い窓、一つの部屋で進む物語。山奥に住む「月読み」の女。 小説を読む断片をはさみつつ、詩的な言葉。正直にいえば前半はわりとイメージの点描のような雰囲気で物語がどういう枠組みなのか少々のみこみづらいアタシです。
有名人どころかおそらくは政治家の「センセイ」にも近い関係を持つ月読み女が突然世間との交わりを絶ち住む山奥。大雨で交通も遮断される密室状態。謎めいた泥だらけの女、「ジェラシー」を題材にした小説を読むシーンを交え、それはおそらくは彼女にあったこと。
後半になると物語がぐんと進む感じで見やくなります。月読み女の妹もまた力を持つが病魔に伏せっていて、死者を操って現れて。すわ対決かというわけでもないのだけれど、断絶していた姉妹の再会を思わせ、そこに続く同居人の男との小さな会話がとてもいいのです。それは、役に立たない知識が多い同居人で、一緒になるメリットがわからないけれど、占い師だからこそ先が読めない男と一緒にいることの嬉しさ。
あるいは、食材を運んでくる女がここに住んでいることの理由は、かつて殺人犯と疑われていたときに、月読みの女は、それが娘を庇っていることを読み、その気持ちを汲むように引退したというストーリーも美しい。
劇団員としてのラストステージとなる咲田とばこ、ちょっと理屈っぽいことを日常としてさらりと語る自然な雰囲気がこの作家の描く物語にいままでもよくマッチしていたと思うけれど、今作はその集大成のよう。赤い作務衣風、喪服に上掛けも美しく。終幕、斧を花束のように抱える姿もちょっとラストステージっぽい。 はしぐちしんが演じた車いすの男のスノップさと軽さ。荘加真美が演じた食材を運ぶ女はオヤジギャグを背負う軽さが楽しい。
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