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2017.08.29

【芝居】「ナイゲン」feblabo×シアターミラクル

2017.8.19 14:00 [CoRich]

アガリスクエンターテインメントによる2006年初演の人気作ですが、あたしは初見です。21日までシアターミラクル。135分。

文化祭が近づく高校。各クラスの出し物の問題点を洗い出し実現性を確認するための全団体による「内容限定会議=ナイゲン」が開かれる。各団体の内容を確認しこれで決定という直前、実行委員長は職員室に呼び出され行政によって決められた「節電アクション」をどれか一つのクラスが行うことを命ぜられ、従わない場合は文化祭を非公開で行うと通達される。

伝統的な進学校にありそうな自律の校風、「ナイゲン」という不思議な名前を持つ会議で生徒たちが三日もかけて問題点を洗い出すというのもそれっぽい。教師から押しつけられる形の「節電アクション」をどのクラスが引き受けるかという枠組みの物語は「集団の中で一人のスケープゴートを選ぶ」スタイルの 「俺の屍を超えていけ」(1, 2, 3) や「ありがちなはなし」の風味で始まる物語。おとしめるような策略を巡らせたり、上級生がさりげなく下級生にいうことを聞かせようとしたり、あるいは色恋沙汰がからんでみたり。バランスがくるくるとかわるシーソーゲーム、ときおり決をとりながら黒板にそのバランスが可視化されるのはわかりやすい。 さらにそこにひと工夫。終盤近く、厳しく自律する進学校らしい規制によって参加できなくなるかもしれないクラスが発生し、教師から強制された節電アクションなる出し物を、そのクラスが参加するために利用する、という流れに。誰かが泣くのではなくて、工夫によって全員がハッピーになろうという前向きのスタイルは、高校生たちによる議論というスタイルにもよくあっていて、生徒たちの成長を感じさせる結末に無理なくつながるのです。

出展計画の不備を突くような議論の繰り返しの中に、ちゃらい男の二股疑惑やヤキモチ、果てはトイレに行きたいのに許されないなど軽い笑いをきっちり詰めこんでいるのでテンポがよく楽しく気楽に観られるのです。

あるいは、あくまでも自律的にあるべきで教師の要求ははねのけるべきだと理想を主張し続ける三年生もまた、進学校にはありそうな雰囲気がやけにリアル。物語を膠着させるのは実際のところこの一点で、主張する人物を冷静でしかし頑固に作り上げたのは巧いのです。

ちゃらい男を演じた平岸美波は特に中盤から汗をかきまくり物語を転がし、中盤のテンションをきっちり維持する力。議論をふっかける二年生を演じた佐野峻平は序盤でヒールであり続け、泣かされる一年生を演じた安部智美は同学年の男子にはモテるのに、終幕、その厳しい二年生にちょっと惚れたような雰囲気を残す女子っぽさがいいのです。頑固であり続けた三年生を演じた鈴木翔太は理性的でしかし頑固という大人の雰囲気。

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