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2017.07.04

【芝居】「ブリッジ」サンプル

2017.6.25 14:00 [CoRich]

10年目にして劇団休止公演。ワタシは初期 (1, 2) しかみてないので、実は10年ぶりに。 25日まで神奈川芸術劇場・大スタジオ。135分。

一人の男の腸内をシェアし、未来の人間は身体の表と裏がうらがえることを望む「モツ宇宙(コスモ)」なる教義のコスモオルガン教会。過去のそれぞれの教会との出会いやキャラバンの日々を描いたあと、観客とのトークショーが始まったところで、一人の男が現れる。

一人の静かな狂気の男を中心に集う人々の流れ、あるいは迫害の日々を描く宗教劇を上演するセミナー形式の体裁。舞台下手にはマイクのある演台、大きなカーテンのような幕。 うさんくさい笑顔で現れる人々、ゆっくりとした口調で温和に話しかける人々。 客席に座る私たちはそのセミナーの参加者のよう。もちろん芝居ということはわかっていても、この手のセミナーへの拒否反応を抱えるワタシにはどうにも居心地がわるく。更に腸内細菌の共有から、セックスすら共有するごく小さなコミュニティ、芝居としては面白がれる程度には大人にはなったけど、やっぱりむずむずとするアタシです。

乱入する男によって明かされるのは事件を起こしたがために迫害を受けるようになったということ。刑期を終え出所してきた男が戻る場所はここしかないのに、それを拒否したいと思う人々。やがて、「全てをシェアしていく」と表面的には繕っていてもその内側にあるさまなざま気持ちが見えてくるのです。 「人間は管のようなものだから、内側から裏返るように、内に秘めていたものを面に表出し、何でも共有していく」というロジックがちょっとコミカルで面白い。結婚すら基本的には認めない彼らなのだけれど、そこの中で何かを独占したいと思う気持ち。

このコミュニティ、やはり教祖たる一人の男の存在によってギリギリのところで分解を免れているのだけれど、終盤、刺され倒れることで、彼らがどうなっていくのか、という終幕は劇団というかたちを終わらせる彼らの姿にもしかしたら重なるのかも知れません。

乱入する男を演じた山田百次はなかなか出てこないなかで登場、一気にこの場の空気を不穏し、しかしその臆病な人物を描く振り幅。まとめている女を演じた伊東沙保は美しさゆえの広告塔、それゆえの胡散臭さも同時に醸し出す説得力。何より凄いのは、終始フラットに狂気のこの教団を率い続けた男を演じた古舘寛治で、こういう怪しい役をやらせるともちろん最強なのだけれど、この長丁場で狂い続けるというある種のスタミナの凄さにもびっくりするのです

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