【芝居】「まど/みそ味の夜空と」らまのだ
2017.7.16 18:00 [CoRich]
らまのだのW受賞を記念して、と銘打って、二本立て+おまけ短編で100分。16日まで、梟門。100分。平日21時開演の設定も嬉しい。
マンションを買った弟のところに職を失い転がり込んだ兄。兄の妻は離婚したいが兄は別れたくなくて「まど」(1)
妹とその恋人はもうすぐ別れる。ダメな兄とその恋人。兄はラーメン屋を目指し札幌に旅立ちたいが、恋人は別れたくないし、ずっと男からフラれ続けている人生だ。「みそ味の夜空と」
男は離れた街のカラオケボックスを訪れる。懐かしい女に再会する。あの時のことを思い出したりもする「ひとりぶんの嘘」(1)
本公演だけでなく、短編をいくつも持っていて、ショーケース公演でも見かけることがあります。今作においては、過去別の公演で見たものが2編、ワタシは初見のものが1編ですが、これも別の処での初演。それほど間をあけずに公演を繰り返すフットワークの軽さは明確に利点だと思うのです。
「まど」も「みそ味〜」も別れつつある男女、ちょっとズレた会話と軽妙なテンポの掛け合いが持ち味で、物語としては違うモノなのに、こうやって並べて見ると似たように感じます。作家のカラーともいえるけれど、もっと違う雰囲気のものを並べた方が楽しいようにも思います。
「まど」はごくミニマムな三人の会話がシンプルに美しい。仕事を辞めること、離婚を切り出すこと、どちらかというとそれを見つめる視線は弟の側からのように感じられます。尊敬していた兄、その兄嫁との恋に落ちかねない絶妙な距離感。平穏に過ごせていたはずの日々が突然壊れることが、終幕、事故を思わせる音で象徴的に感じられます。正直救いはないけれど、この短い時間の間に揺れた人々の感情をゆっくりと噛みしめる一本。
「みそ味〜」はこうして並べて見ると少々人数が多く。こちらも別れる二人、別れを告げられた二人がくっつきそうでくっつかない感じ。序盤で恋人のプロレスの仮面をかぶった女が性的興奮すら覚える、と冷静に語るシーンがやけに色っぽく。あるいは、別れを告げられた二人がバス停で時間を過ごし、フラれ続けている人生だからと云った女が、それに乗れると口説いてきた男をあっさり振るのはちょっとした遊び心というかなんというか。
三本の中で味わいがあって好きなのはじつはおまけに設定された「ひとりぶん〜」。ごく短い一本で、会話に見えて実は会話じゃないというファンタジー仕掛けも含めてよくできています。長いここまでの時間を振り返り自分に問いかけるのです。
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