【芝居】「シンクロ・ゴッサム・シティ」シンクロ少女
2017.7.7 19:00 [CoRich]
19日まで、シアター711。110分。
町は荒れていて、犯罪が横行している。
離婚して町に戻ってきた次女を迎えにきた長女・三女が運転する車は男をひいてしまうが、男は大丈夫といって病院にも警察にも行かない。
男は貧しいながら、ダンサーのほか多くの仕事を掛け持ちして弟を養っている。町は荒れているが正しいことを貫くように言い続けている。
弟は公園で傘を持った少年に出会う。互いに友達がいないが、テーマパークのアトラクションの好みが意気投合し、友達となるが、母親のことが苦手だったり友達のためといいながら子供からジュースを奪ったりが気になる。
兄は三姉妹の次女と恋に落ちて、花火を見に行くまでになる。兄弟は毎年行っていた花火なのに弟は連れて行かれなかったことに裏切られたと感じる。
事故の影響で兄は右足が動かなくなり働けなくなるが、三姉妹は知らぬふり、弟のことは育てなければならない。
バットマンの舞台、ゴッサム・シティ(といいつつ未見なのだけど)を思わせるモラルが崩壊した街。車で人をひいてもそのまま逃げようとするし、万引き、当たり屋が横行。そんな中で正しいことを貫くように生きる兄弟、あるいはそんな中でもはぐくまれる友情であったり恋心。ギリギリのところで「正しく生きていた」兄、事故の後遺症で体が不自由になり稼げなくなる中、「正しく生きること」と「弟を育てること」の狭間で苦悩し後者を選び取るためにいわば「バッドサイドへ踏み込む」こと。
別々の無関係に思われるシーンの点描の中で、一人の人間を若い頃と現在で別の役者に演じさせるのは前作でも使われた手法で、二回続けて使うのは巧くない気もするけれど、確かにグッドサイドの時代とバッドサイドの時代を対比して、その落差を描く手法としてはなかなかぴったりだなぁとも思うのです。
バッドマン未見のあたしですが、街のあちこちに神出鬼没なゴーグルをかけた女であったり、傘を持ち続けている男であったり、あるいは金持ちになっている孤独な男など、アメコミを思わせるキャラクタをまとった登場人物が目白押し。音楽も楽しい。世知辛い昨今だから、まあ書きづらいけれど。
バットマンの世界から出てきたような二人のキャラクタを演じた中田麦平、宮本奈津美は強烈な印象だし、ずっとこの世界に居る住人という説得力。三姉妹も印象的で、長女を演じたしまおみほは真面目一辺倒(だけれど、人を轢いてもそのまま逃げようとする)、次女を演じた堂本佳世は離婚して戻ってきたのに早々に次に、という男が切れない感じの説得力。三女を演じた西田麻耶、とりわけ、弟に口説かれ喜んだり可愛がったりするシーンがとてもよいのです。
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