【芝居】「はんかくさい奴らの夜明け」肯定座
2017.5.26 19:30 [CoRich]
100分。30日まで駅前劇場。
入院病棟のナースステーション前。夜も遅くなってきている。いろいろな人々が通う。 オリンピックに出られなかった体操選手、余命数ヶ月と宣告された堅物の男、軽口を叩きながら小説を書く男は実は素人童貞だ。あるいは女にだらしない療法士、元地下アイドルのシングルマザー看護師、いい年齢になり子供がほしい看護師、あるいは女医。
夜中から夜明けまでの入院病棟フロアのナースステーション前、短期間居合わせる、たまたまの偶然のコミュニティの人々。それぞれに思うことあるし、夜中なのに酔っぱらいでもなく、しかし基本的には安全な状態で他人と顔合わせること、あるいは夜中故に男女の関係がちょっと頭をもたげたり。何かが起こりそうなこと。
じっさいのところ、本作、突飛なキャラクタ(更には中国人とロシア人のハーフの純朴な女とか)をたくさん用意しつつ、生真面目な男と美談の体操選手、男にだまされる女たち、素人童貞と占いの女という三組の物語を核にして進む物語です。正直にいえば、一つの場所を共有しているというだけで物語それぞれが別々に進んでいて、盛りだくさんな話題のわりにそれぞれのつながりに欠ける感じがします。少々登場人物が多いという気がするけれどどうだろう。中止になった東京オリンピック、という意味深な設定もそのままでちょっともったいない。
終幕、男にだまされていた女たち、夜明けを迎えて笑うというシーンは前向きで何かが一皮むけたようなさわやかささえ感じるいいシーン。だまされた、といっていても薄々感じてたというぐらいには大人の女たちという匙加減の絶妙さ。
女医を演じた菊池美里はいわゆるおもしろいことをしない、フラットな造形が板に付いてきたようで頼もしさすら。井口千穂が演じた美人なのにあんまり男に恵まれてない看護師、という雰囲気が実によくて。ほぼヒールを一手に担う軽い男を演じた久我真希人はモテというよりがさつさが勝る造形でおもしろく、体操選手を演じた椎名茸ノ介は足の怪我を文字通りの腕力で何とかしちゃうのがまるでサーカスのようで思わず声がでるアタシです。素人童貞の軽口の男を演じた安東桂吾はフラットな優しさ、安定の役どころ。
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