【芝居】「レモンキャンディ」匿名劇壇
2017.5.28 18:00 [CoRich]
大阪の劇団、あたしは初見です。大阪の後、29日まで王子小劇場。85分。
何かのプロジェクトに参加していた男女。トラブルにより乗組員を乗せたまま落下している。計器によれば激突まであと7日ぐらいある、らしい。
チラシにあるような筒状の居住空間を持ち、落下し続ける空間。全体が強い傾斜になっていて、いくつかの扉と壁で囲まれた閉鎖空間、大きなテーブルといくつもの椅子で役者には相当に負荷がかかるものと想像します。衣装や装置は白基調で統一され、どこか近未来感。ともかく落ち続けるという大きな嘘で作られた世界。落下し続けるのだから無重力になるんじゃないかとかというツッコミは劇中でもされるけれど、そもそも宇宙すら一人を除いてピンとこないという嘘は相当なもの。大卒は一人だけで他はいわゆる学がない、という設定で乗り切る強引さは、上演時間をコンパクトにまとめますが、少々無茶な感じでもあります。
研究者、風俗嬢、ホスト、何かの治療を受ける人、宗教のコミューンで育った人、社会問題という名前のアイドルグループの一人、そのファン、肉体派のスタントマン。職業に対しての貴賤を感じさせる語り口は少々癖がありますし、レイプに対しての怒りは描かれてもそれがわりとあっさり忘れられてしまうのも少々違和感があります。死ぬと思った人々がなにをしようとするか、あるいはその場あつまった人々がどうやって生きてきたか、をカプセルに入れるように物語を運ぶのです。
アタシの拝見した回のトークショーは土田英生で、やはり宇宙を知らないということの嘘の指摘で、それだけで物語がかけてしまうぐらいに相当なことなので、いっそそういう混乱さまざまをばっさり切ってもいいという指摘。あるいは社会問題というグループが歌う歌の歌詞は面白いものの、現実にリンクしていて、虚構の空間が作りづらい、という指摘に目から鱗のアタシなのです。
思えば、このスタイリッシュさ、物語運びのスピーディーさ、あるいは女優がわりと美しかったりということ、あるいは関西の劇団ということからかつての劇団・MOTHERを思い出すアタシです。当日パンフに役者名はあるものの、役名が無いのはあんまり巧くないけれど、そういえばMOTERもそこは無頓着だったなぁと思い出すのです。
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