【芝居】「ああ、演劇」くによし組
2017.5.21 16:00 [CoRich]
21日まで東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)。拝見した日曜夕方の回は、ゲストが下手側に座り舞台につっこみを入れまくるというdisり回として設定されていました。
「くによP組」の作家は、架空の劇団をいくつか並べて描くことで「演劇」を描き出そうと考えるが、なかなかうまくいかない。
「right elbow」は観念的でちょっと頭が良さそうでスタイリッシュ。
「プリティコッペン」は夢をみない女の夢を巡る物語をファンタジーに。
「801」はアフレコ現場の声優たち、若い二人の男の声優が加わる。
が、作家はいろいろ試すも最後の一本が書けず、全体を書き直すといい出す。公演が迫り劇団員たちはそれを阻止し書けてる本の稽古を続けようとするが作家の意思は変わらないうえ、作家がそのほかの諸々も抱え込んでしまう。
「right elbow」はそれを上演するブロッコリーに熱中する先輩は、後輩がお笑いや小劇場がおもしろいということを一刀両断に切り捨てる。がブロッコリーのどこが。
「プリティコッペン」は紅一点の女優やりたい芝居はこれではないと思っているが、ヒロインに抜擢されるとおもしろくなってくる。
「801」はバスケットボール部とマネージャー、の男二人。スポーツドリンクを回し飲みすると、いつの間にか入れ替わっている。
「くによP組」の上演は迫っているが、最後の一本は全く書けていない。もう開場しているが、作家は家にいて劇団員たちは設定だけでも聞きだそうと電話する。
4つの劇団を巡る短編、前半後半に分けて上演しそうな芝居をパロディ風の劇中劇にしたり、その劇団の舞台裏を描いて役者や作家を描いたりして。今作を上演している「くによし組」を模した「くによP組」自体が初日に至っても書けないままだという右往左往を外側を薄皮のように包んでいて、まるで作家自身の姿が見え隠れするようなのです。
とりわけ、その「くによP組」の作家がいろいろ抱え込んでしまう感じや、それまで書いたものをなげうってしまう博打、さらには出演者全員が自分のことを恋愛対象として好きだと思いこんでいるという自意識過剰感めいっぱいまで、作家自身の本当の姿を知る由はないけれど、まるで作家自身のあれこれを自伝的に描いたものを見ているような、微妙な気持ちにさせる、というのが実はちょっとすごいんじゃないかと思ったりします。
アタシの観た回に設定されたディスリ回は、ゲスト2名と作家自身が舞台端に実況席のように座り、つっこみを入れつつなおもしろさ。とりわけゲストの沈ゆうこがよくて、書けないと云う泣き言を叱責し、全部を書き直すという暴言にやめた方がいい、できるできるという応援しという具合で、目が離せないぐらいに楽しい。テレビ実況の「ニコニコ実況」を見ているような楽しさなのです。もちろんゲストによって差は出そうなところではあるけれど。
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