【芝居】「バージン・ブルース」うさぎストライプと親父ブルースブラザーズ
片方の男は乳房を持ち、片方の男は長いペニスを持ち。その二人が育てた娘の結婚式。 同性愛かもしれない雰囲気をにおわせつつ、花嫁となった娘はどうして二人に育てられてきたのかという走馬燈。うさぎストライプはそう多く観ているわけではないけれど、壁を押す、というモチーフは一カ所だけ姿を現します。
花嫁となっている娘を演じた小瀧万梨子が、もう一役、若い頃の男二人を魅了するブラックという別の人物を演じるというのがちょっと不思議な物語の一つの要ではありますが、むしろオヤジ二人を描く事こそがポイントに思えます。何かが欠けているかというか余分というかな、オジサンとなった男二人がどうやって生きてきたかの生きざま、その二人を繋ぎ続けてきたものは何だったかを、優しくときに下品に、あるいはちょっと哀しく描き出すのです。
結婚式の控え室で始まる物語は、終幕で礼服を着る男の立場が代わり別の場所になり、そこでバージンロードを歩むのだということがわかります。序盤で早々に走馬燈と言い切っていますからそれはそれほどの驚きではないけれど、ぐるりと一回りした物語の長い時間を感じるのです。
「普通の」男と結婚することを選んだ女、「普通」という言葉を不用意に使うことが難しい設定の物語ですが、きちんと二人の男を見つつ、育てられてきた娘が見てきた風景をベースにしたもの。それは「世間で言う、普通」という奥行きを持った言葉として発せられる終幕で、この芝居全体が醸し出す奥行きをぎゅっと圧縮してみせるのです。
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