【芝居】「時をかける稽古場2.0」アガリスクエンターテイメント
2017.3.25 19:00 [CoRich]
2014年初演作を大幅に改定再演、ワタシは初見です。28日まで駅前劇場。130分。
本番2週間前の稽古場。台本はできあがっていない、ふとしたことで台本が完成している本番前日の稽古場と人物を入れ替えることができることを発見する。台本と演出を手に入れようとするが、逆に本番2週間前のこの場所を、本番直前を迎えていた演出家と役者たちに奪われて、本番2週間前の役者たちは本番直前の世界に取り残される。
タイトルも含めいわゆるタイムスリップものの様相をみせつつ、実は微妙にことなる並行世界を行き来する「もしもボックス」の機能という説明で進む物語。前半は「台本のあがらない稽古場」×「直前の修羅場を迎えた稽古場」という形でより早く台本を手に入れたい役者たちと、もっと時間がほしい役者たちの対立軸。 劇中にも取り込まれているけれど、ドラえもんでの秘密道具と物語、という関係のようで、ちょっと悪いことを考えた人々がうける手痛いしっぺ返しという感じで見やすいのです。 バミリのテープで囲んだ場所で時空がゆがむというのはネット動画で評判の「猫転送装置」のようで楽しく、しかもごくシンプルな仕掛けで巧い。シンプルといえば、 同じ人物が「どちらの世界」の人かを公演Tシャツの有無で示すのもマル。シンプルな対立軸でわりとスピーディに進む前半はコミカルな要素が強く、ズルしたい気持ちというか、人間の弱さを中心に描きます。 全員の入れ替えをしつこく繰り返すのは丁寧ではありますが、正直に云えば少々長い気もします。
それぞれの背景を背負いつつ未来の視点が加わる後半。自分たちだけが巧くいけば他の世界は壊れてもいのか、それともそれぞれの世界の秩序は取り戻されるのか、つまりどの着地点を選ぶべきかを登場人物に迫ります。出演者のインフルエンザによる公演中止といういまどきの演劇界っぽいキャッチーな題材を取り込みつつ描くのです。正直にいえばこのあたりの問題点とその回避策の示し方が前半比べるとアッサリで、ぼんやりしてると置いていかれる感はあります。まあ、大きな問題ではありません。登場人物たちは間違いなくきっちりと成長し進んで行くことが示される結末、きっちりと物語を語りきるのです。
つい数週間前の舞台ではシリアスな役を演じていたハマカワフミエは、ともかく舞台に熱い小劇場の役者、という造形。かつての所属劇団・国道58号戦線の頃を彷彿とさせる前のめり、コメディエンヌぶりも楽しい。 制作を演じた沈ゆうこは満を持してという雰囲気で登場して転がりがちな物語をすこしゆったりとした雰囲気に。
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