【芝居】「The Dark(ザ・ダーク)」オフィスコットーネ
2017.3.4 14:00 [CoRich]
イギリスの戯曲、日本初演。105分。12日まで吉祥寺シアター。
同じ間取りが連なる三件のテラスハウスに暮らす家族たち。夫を亡くした女が同居する女は息子が幼児性愛だと思われ近所の子供たちが騒いでいる。子供を産んだばかりで神経が高ぶって寝られず社会復帰もままならない若い夫婦。15歳の息子が引きこもりネットにとらわれていて互いの会話も少なくなってきた夫婦。顔は知っているものの、日常的にはあまり会話をしない家族たち。ある日、この一体が突然停電になる。明かりを借りたりと互いの家を行き来する。
何層にも積み重なったいくつかの部屋。三つの家族が同じ間取りのテラスハウスに住んでいるという設定を巧く生かして、三つの家族の暮らしを重ね合わせるように描く世界。時にプロジェクションマッピングを使ったり、同時多発的な会話があったり。作り込まれた舞台のセットはかっこいいし、洒落ています。
家族たちは顔見知り程度ではあるけれどそれほど親しいわけではなく暮らしていて。老いつつある母親と息子、子供が産まれ体調も戻らず苛つく若夫婦、引きこもりの息子を抱える夫婦。 ハンマーを振り回したり自分がガンではないかとおびえたり、赤ん坊に苛ついたり、理由なく犯罪者扱いされたり、世の中が何もかも謀略に満ちていると思いこんだりと、みなどこか不穏なものを抱えているのです。
あふれる光と音の中、突然訪れる停電と暗闇。それぞれが隠している気持ちが表に現れれるもの。 引きこもりの子供は外に出て他の家に忍び込んだり、夜に不満のある妻が若い男をベッドに誘ったり。それは一夜の夢のようなのです。
見た目に美しくスタイリッシュな舞台。同時多発をつなげるかのように、別の組の会話の言葉が重なって場面がつながるようなところもたくさん。台詞と段取りが過剰に多くて、私のみた時点では言葉を紡ぎ成立させることと段取りに役者のエネルギーがとられている、という印象です。長い公演期間ですから一週間経つとずいぶんこなれるのではないか、という予感も。 ワタシにとっては少々スタイリッシュにすぎたり、台詞のつなぎの遊びがこなれてない感はあって、人物の奥行きが見えづらい感じがします。それは英国人のメンタリティをアタシが理解出来てないから、という可能性も捨てきれませんが。
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