【芝居】「もれなく漏れて」ぬいぐるみハンター
2017.2.27 20:00 [CoRich]
ぬいぐるみハンターの新作。100分。28日までOFF OFFシアター。
山奥で暮らしているおじいさんと少女。少女は世の中のことをほとんど知らないままこの場所で暮らしている。羊飼いの少年と、迷い込んだ犬との日々は楽しいが、心臓の持病がもうおじいさんの手には負えず、里から女医とその娘を連れてきてみてもらうことになる。
山奥で暮らす少女とおじいさんと羊飼いとなればハイジだけれど、どこかちぐはぐな感じの背景設定。それは人間なのに犬として暮らす男だったり、里からつれてこられた女医と娘が妙にエキセントリックだったり、ポップというかロックというか、それぞれがマンガのようなちょっと壊れた人々。
その中で女医が連れてきた同年代の少女とのファーストコンタクト、「どこ中?」で距離を計るプロトコルが楽しい。
コントを積み重ねるような笑いを重ねながら、哀しい少女の出自が見えてくる後半だけれど、それを泣きにつなげません。おじいさんにしても女医にしても周りの大人たちが、大人になりつつある少女に少し戸惑いながらも最大限にささえているのはどこか優しい感じ。それなのに間抜けに見えてしまう人々の姿。
対して少女のほうはびっくりするほどからりとしているのです。そういうものだ、と出自を知っても受け流すよう。強がりなのか本当に何とも思ってないのかはわからないけれど、こういう状況でも明るい少女、というのは、そうだ、ぬいハンの得意な人物造形なのだと思い至ります。
少女を演じた見里瑞穂は、まさにこういう造形が印象的。ドヤ顔をいちいち決めたりいたずらっぽい笑顔。いちいち見栄をキメるように客席を向くのは今作においては様式美のようですらあって芝居にフィットしています。 おじいさんを演じた安東信助は、聴診器を少女の胸に当てるのに戸惑うような意識するようなライトないやらしさはバランスの難しいところだけれど気が弱そうなバランスが巧いところ。
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