【芝居】「青春の延長戦」冗談だからね。
2017.3.25 15:00 [CoRich]
26日まで、王子小劇場。80分。高校生の主宰というふれこみです。
1998年劇団の人々。世の中がプロデュース公演に移り劇団自体が成り立たなくなりつつある中、家出娘がそこに入ってくる。
2008年同棲している男女。女は制作の仕事を受けている。男は戯曲を書いているがろくに働いていないが、いつか舞台を作ろうという貯金と気持ちが二人をつないでいる。制作である女にファンがつき、花やチラシが届けられるが、やがて舞台を作りたいのでスタッフになってほしいという申し入れがある。
2018年オーディションは泊まり込みのテラスハウス形式で行われている。遅れてきた女優は気が付いたら10年前からタイムスリップしてきたのだという。男は女優を口説いたりもする。
おそらくは今の19歳が生まれた頃の1998年を起点として、10年後、20年後を、演劇を巡る人々として点描。行きつ戻りつして描かれるそれぞれのシーンは、それぞれの時代な感じ、たとえば劇団からプロデュース公演に形態が映りつつあるとか、携帯電話を安価に契約させるためのドニーチョ契約とか時代の雰囲気をまぶしつつそれぞれそれなりに物語を作るけれど、互いにつながりはなさそうに思います。
それぞれの物語がとぼとぼと歩みを進めている中、学ラン姿の男が現れ、2017年には第三次世界大戦が起こり、人が暮らせなくなていくった、逃げろと叫びます。一気に女子高生姿の(男性の俳優もみなスカート)役者たちがなだれこみ、大縄飛びで30回飛ぶ、というラスト。
物語を作りっぱなしにしてイキオイで何かを作り上げたようにする、ということかなと思います。若さ故のイキオイというか眩しさは終盤に限らずそこかしこに見えますし、細かく見ていくと面白そうな物語もあったりして。 たとえば2008年の同棲している男女と、制作業をしている女に言い寄りたいがために演劇プロデュースに目覚めてしまった男というなんだかよくわからない感じだけれど、同棲する男女の会話みたいなぐだぐだをそれなりの時間成立させられているというのはたいしたもの。
あるいは1998年に妊娠したということはまさにいま高校生になっている人々の生まれる直前を描こうという感じでもあって、これはこれで一つの意味だし、だから逃げろと叫ぶラストシーンにものなんとなくのつながりを見いだすことはできそうではあります。 そういう意味ではテラスハウスのオーディションと未来から来たと言い張るのにiPhone7を使ってる(このリアリティは面白い)女を巡る話しは少々不発な感じもします。
一つの舞台に載せたそれぞれの断片を必ず物語として繋げていかなければいけないということではないけれど、断片を入れ子にして行きつ戻りつして見せているという形式なら、それを感じさせて欲しいし、終幕の「どかん」な感じは、若々しい眩しさ、ということ以上の何かがほしいとも思うのです。
2008年の彼女を演じた志村りおは前向きに張り詰めて生きている大人の女性という人物をきちんと作り出しています。1998年の作家を演じた曽根来怜久は決して巧い役者ではありませんが、彫りの深い外国人のような見た目が印象的でかつきちんと人物を作り出しています。
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