【芝居】「こしらえる」無隣館若手自主企画(松村企画)
2017.2.23 19:30 [CoRich]
青年団・無隣館の松村翔子作演による公演。26日までSTスポット。90分。
人気の飲食店を支えるパティシエが無断欠勤している。女にもだらしないし飲んでばかりだが二日連続の欠勤となり心配するスタッフたちだが、店は忙しい上に混乱している。シェフの男とホールアルバイトの女は不倫関係になっている。シェフの妻は猫が居なくなったとふさぎ込んでいるが、愛人にペットの猫として一緒に暮らさないかと提案し、女はそれを受け入れる。
森の中、一人彷徨う男がいる。
森の中を彷徨う男、という風情の山縣太一のシーンをすこしシリアスで詩的な雰囲気で挟みながら、忙しい飲食店の混乱と、愛人をペットにしようという妻の提案のシーンで構成される舞台は喜劇、という感じ。 愛人をペットにしようと提案する上にそもそも存在しない猫を探し続ける妻は文字にすると少々病的な感じですがコミカルを強く造形します。
猫が行方不明といいながら実際には猫はそもそも存在していなくて、流産が原因で妻が思い込んでいること、いっぽうで森を彷徨い死んでいくのは酔っ払ったパティシエなのかと思いきや猫だということが終盤で示されます。飲食店や妻と愛人という「人々の物語」の中では現実には存在しないはずの猫が森の中の物語には存在し、人々の物語で居るはずのパティシエは実は森の物語では描かれていないという形で互いの存在がクロスするような不思議な循環を見せます。
妻を演じた島田桃依の怖いぐらいに病的な存在をこれだけコミカルに描き出す存在感が凄い。その夫を演じた海津忠のフラットさはやってることはだらしないけれど、観客から地続きの視座が心地よい。不倫の女を演じた 井神沙恵に首輪となると何かのプレイかというぐらいにペットっぽさ、強い色気。椅子のパフォーマンスで森を彷徨う男もしくは猫を演じた山縣太一、酒と女にだらしない、という妙な説得力とパフォーマンスの静かさが醸す哲学っぽさの同居が楽しい。
無隣館というよりは「三月の5日間」 (1, 2)のミッフィーちゃんの、という方がアタシには強烈な印象を残す松村翔子、愛人と妻のぶっ飛び具合にあのミッフィーちゃんを勝手に重ねるアタシです。ディック・ブルーナが亡くなった直後にこれを観るというのも(勝手に)感慨深いのです。
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