【芝居】「ひとり」年年有魚
2017.2.3 19:30 [CoRich]
3年ぶりリブートなのに2017年中の活動休止を決めた年年有魚の企画公演。115分。5日までRAFT。
トイレ掃除のパートをしている女、鼻歌交じりでの仕事の途中、かつての恋人に再会する。「しあわせ芝居」(トツカユミコ)
ウサギを追い穴に落ちた女の子は不思議な世界に迷い込む。みんなが椅子に座り窓のような箱を見ていたり、赤い口紅の女にお茶会に誘われたり、ジンジと名乗るイケメンの男に声をかけられたり「わたしの国のアリス」(前有佳)
一人部屋に居る女、スマホや本を見ながら、のVR体験「暗渠」(平田暁子)
20分ぐらいで語る林芙美子の『放浪記』。「235」
三人の女優による一人芝居三つに、一人芝居を三人による言動分離+ト書きに分けて演じる芝居一本で構成。合間にスケッチブックに書いたタイトルを見せるシーンを挟みつつ。
「しあわせ〜」はおそらくはパートでトイレ掃除という仕事の日常を暮らしている女。たぶん鼻歌交じりでやるぐらいには不満はなくてという日常に突然紛れ込む、若き日の恋人。男子トイレという設定が絶妙ですが、それが前半では「個室」の酔っぱらいを介抱するパートでは性別がいまいちわからずもったいない。かつての恋人との突然の再会パート、その心の動き、とりわけ「コンサル」という無理筋な見栄の張り方のズレ方が切ないのです。
「〜アリス」は今作の中でもっとも(とりわけ)テキストとして力作と感じます。穴におちた女から見えた世界がとても不思議と女は云うけれど、通勤してオフィスで仕事をし、という日々のこと。日常で当たり前と思う小さな理不尽を執拗に、しかしあくまでファンタジーとして描き出す力量。正直にいえば、物語全体が日常が違って見えてしまった女、精神疾患を患った女の視点、と見えなくもなくて、ちょっともやもやする気持ちが残るのは、まあアタシだけかもしれません。
「暗渠」は無言劇のスタイルで、「ちつトレ」なんていう本を小道具に使ったり、かきまぜたヨーグルトをつけたスプーンを腰の高さに手で固定し舐る、というかなり下世話に寄せた演出になっています。身体のくねる感じであったり、劣情が刺激されまくるアタシです。ショーケース的な女優の魅力が存分に見えるけれど、芝居なのかということでは少々微妙なアタシです。
「235」は、次回公演で予定している一人芝居を、動き、台詞、ト書きという三つのパートに分離した言動分離スタイルの濃縮編。しっかり放浪記なのはわかるけれど、このやり方だと誰が、とかどういう演出か、というあたりがポイントになりそう。
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