【芝居】「溶けて解せない」からまわりえっちゃん
2017.2.18 19:30 [CoRich]
関西の劇団、パワーと笑いで押し切る115分、むしろ懐かしい気すらするアタシです。大阪のあと、王子小劇場。19日まで。
未来の日本、年齢で成人を区切ることの理不尽という世論の高まりから法制化されたのは「めばえ」が確認されたら大人になる、ということだった。28歳になっても「めばえ」がなく学校に通い、毎日秘密基地に集う同級生の男女たちはむしろ大人になりたくないと思っている。
ある日、そのうちの一人が「めばえ」る。文科省はそれを発見し特殊部隊を投入して確保し大人と認定しようとするが、パイパーと呼ばれる反政府組織がそれを阻止する。
細かなギャグやらおかしな振る舞いなど、ときには本筋を大きくはずれながら詰め込んで、しかも「めばえ」つまり毛が生えたかどうかで判定し大人となると容赦なく社会人、というある種のディストピアな描き方。大人になりたくない子供たち、という枠組みは既存のものとして語られるけれど、大人の側は立派に社会の一員となったり、あるいは恋人の関係だったりとごく断片だけが語られるのみです。子供の側からみえるほんの一面で知らないが故の恐怖ということかもしれないけれど、正直にいえば、命の危険を伴ってまで子供になることにこだわる理由は今一つ見えない感じ。
こんな荒唐無稽な枠組みに、明らかに大人なのに子供にとどまる人々、怪しい色香を漂わせる美容師や長官など特徴あるキャラクタ、さらにはレジスタンス的な地下組織にヒロインっぽい大人の女性など、対決と成長の物語を少年ジャンプよろしく描きます。さらには先に大人になっていた弟と子供のままでいたい兄の兄弟の愛情と、初恋の女をモノにできなかった屈折など、成長には事欠かない要素をたっぷり。
オリジナルの歌も3曲、膨大なギャグと、その中にきらりと光るいい話し。骨格としてはどこか新感線を思わせるし、王子小劇場の規模でのこのテンションの芝居という意味ではたとえばピスタチオ、たとえばクロムモリブデンなどが上京してきたときのある種のイキオイを纏うのです。
叛乱軍の女戦士を演じた浅野望の凛とした感じ、キレるところの可愛らしさ。 美容師とママを演じた平山晴加はやけに色っぽく、コミカルで突っ走り。長官を演じた玉一佑樹美のお茶目さ、終盤近くで委員長に跡を託すという絶妙な怪しさ。委員長を演じた福冨宝の掟を守るちょっとイケてないジョシ感が楽しい。ママに何でも話しちゃう男子を演じたムトコウヨウはキャラクタ先行の感あれど、印象に残る役。
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