【芝居】「夜の玩具」エレマミーノ.com
2017.2.12 17:00 [CoRich]
猪股俊明、瑛蓮、橋本真実による演劇ユニットの旗揚げ。エレ(ン)×(ハシモト)マミ×イノ(マタトシアキ)、という名前だそう。 下北沢のバーでの公演のあと、パワーアップして横浜・ベイサイドスタジオ。12日まで。近代能楽集の「葵上」と「班女」の上演。
入院して苦しむ妻を見舞う夫。看護婦は毎夜訪れる女が居るという。現れたのはかつての恋人だった「葵上(あおいのうえ)」
扇を交換し愛した男を駅のベンチで待ち続ける狂気に陥る女。その女の肖像を描くために住まわせている画家志望の女。新聞に載った待っている女を尋ねてきた。「班女(はんじょ)」
タイトルを聞いたことはあっても恥ずかしながら読んだこともなければ上演を観るのも初めてなあたしです。普段は稽古場として使われることの多い場所でコンパクトにシンプルな舞台と、ちょっと雰囲気のある暗さ。二杯分込みのドリンクとあわせて、独特な夜の雰囲気。途中窓を開けるシーンがあってその時間は少々外は明るいのだけれど、思いのほか夜のままという感じなのは不思議な感覚なのです。
「葵上」はオカルトというかホラーめいたちょっと怖い話。赤いドレスのマダム、というにはかなり若い女優だし、夫は、とりわけ回想シーンのヨットの上はかなり若い設定だと思うけれど、年齢差を軽々と越えてしまうような軽快さもあって、舞台ゆえに成立する嘘だけど、観ていて楽しいのです。ベッドの上に伏せっている妻はシーツをかけただけのソファというだけなのだけれど、そいういう見立てもシンプルな芝居らしく。
「班女」は狂うまでに男が恋しい女、それゆえの美しさに魅せられ手放したくない、囲い込みたいと拘泥する画家の女。新聞でその存在が広く知られこの関係が壊れてしまうことを恐れ二人で逃避行をしようと誘うが、やはり待ちたいといいそれに抗うことができないパワーバランスの中盤が見応えたっぷりなのです。男が現れてもそれが待ち望んでいる恋人だと認識できない終盤、会えないゆえに理想が心のなかでどんどん高まってしまうゆえに完成した二人の女の閉息した世界もまたひんやりとする怖さがあるのです。
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