【芝居】「虚仮威」柿喰う客
2017.1.3 18:00 [CoRich]
去年十周年を迎えた柿喰う客の新作。100分。三重、宮城を経て9日まで本多劇場。そのあと大阪。
妻も子も居る男がクリスマスの夜、女に呼び出される。女は祖父の話を始める。
東北の田舎、その村は山の神からの恵みを受けて暮らしていた。長男は10歳になった12月25日の朝、血判状で世界を手に入れると宣言する。翌年から毎年子供の枕元にはプレゼントが置かれるようになるが両親には覚えがない。
舞台中央に大きなやぐらのように組まれた塔のような場所、下回りにぐるりと低めの舞台。劇場の大きさははっきり大きくなって、一歩先へ、の一本。 明確にサンタクロースをモチーフに、毎年のクリスマスを切り取りつつ、山神や座敷童なども折り込みフォークロア風に語られる祖父の物語だけれど、それを語る女と男の「不適切な関係」を含め全体に不穏な雰囲気を纏います。序盤ではそれは単に雰囲気だけれど、終盤にいたり、はっきりとホラーの形を見せるのです。
序盤で少々唐突に出てきた「血判状」は終幕近くに一つ目の謎解きに繋がります。スピード感とか強烈なギャグは封印して、きちんとコントロールされた舞台を創り出そうという心意気は、わりと新しい役者が揃う中でもきちんとクオリティを積み上げていこうとい明確な決心を感じさせます。
いくつかの層になっている物語の一番外側にある、不適切な関係の男女。クリスマス故にこどもが望むものを届けるのがサンタクロース、ということを切実に、しかしダークファンタジーとして描く結末は正直にいえば取って付けた感はしないでもないけれど、終幕にもう一押し、という貪欲さはさすがだとも思うのです。
七味まゆ味が演じる謎めいた「彼女」は不穏さ目一杯、物語の核をなします。一太郎を演じた玉置玲央は物語をきちんと牽引する確かさ。独り突っ走るのではなく、座組として走りきろうというチームプレイがそこにはきっちりと。
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