【芝居】移動レストラン「ア・ラ・カルト」遊◎機械
2016.12.23 13:00 [CoRich]
去年はじめて青山円形劇場を離れたア・ラ・カルトを、フォーマットそのままにあちこちで上演出来る移動レストラン、というコンセプトを足した年末恒例の企画公演。休憩15分を含み、165分。シアターイーストで東京芸術劇場、26日まで、そのあと大阪。スピンオフ的なライブ公演を年明けに横浜で予定しています。ワイン販売は小さな専用ラベルを巻いたミニボトル形式に。
楽団とスタッフが荷物を持って現れ、劇場がレストランに変わる「旅するレストラン」
一人の女が予約なしで店を訪れる。ジンジャエールにウイスキーを加えショウガをたっぷり入れてほしいという「ひとりだけの特別席〜ウイスキーはちょっと辛目のジンジャエールで」
タカハシは会社の後輩を連れてレストランを訪れる。料理やワインの頼み方から「フランス料理とワインを嗜む会〜今年は追いかけてイケブクロ」
年上の女と年下の男が店を訪れるがちょっとぎこちない。共通の知人が独身の二人同士で店に行くように仕向けたのだ「フランス料理恋のレシピ小事典〜意外な組み合わせが隠れた味を引き寄せ合う」
マダム風の高泉淳子とゲストの「おしゃべりなレストラン〜今宵はワインを貴方と一緒に」
「ショータイム」
喜寿が近い男女が食事をしている。昔からの友達がいつもわいわいと集まる会だが今年は二人だけだった。「夢見る頃を過ぎても〜モンブランはお好き?」
クリスマスの夜一人でも楽しい時間を過ごした女は向こうのテーブルに池田鉄洋を見つける。「ヴァンショー〜Christmas present for you!」
バックヤードのような風情の場所に入ってくる人々、リズムに乗せてするすると準備を進めるとシャンデリアの吊られたレストランに早変わりという冒頭のシーンは、移動レストランという新しいコンセプトを明確に、旅芸人風の遊び心たっぷりに体現します。
「ひとりだけの〜」はいつものスタイル、予約なしの一人の女性客、もてなすレストラン。生姜使いまくりというのはちょっと知らなかったレシピで試してみたい気持ちにも。
「〜嗜む会」も恒例のスタイル。新人を連れてきて講釈を垂れるけれどどうも心許ない感じが楽しいコメディ仕上げの安心感。
「〜恋のレシピ小事典」はゲストを加え、メニューに書き込まれた台詞でスタートする構成。 恋人になる以前の男女を描く恒例のフォーマットだけれど、その中でもちょっと珍しい、お見合い仕立てのデート。ぎこちなさから好きなところを探り合い探し合いな会話のやりとり、次のデートがありそうなハッピーエンドがうれしい。アタシの観た回は年上女と年下男の組み合わせという会話だけれど、これ、きっとゲストによって微妙に調整するんだろうなぁ。
「おしゃべりなレストラン」はゲストとのトークパート。テレビで見かけることも増えた役者だけれど、今年は舞台が多くて古くからの人々と再び舞台に立てたうれしさを話す池田鉄洋。
ショータイムは歌が基本のフォーマット。その中にあって山本光洋によるパントマイムが楽しい。二つの傘を開くと乳房になり、というちょっと色っぽい感じ。猥雑さが少な目な昨今のフォーマットでは夜のショータイムの雰囲気を醸す数少ない演目。
「夢見る頃〜」は年齢を重ねた、しかしまだまだ元気な男女だけれど夫婦を描く、これも恒例のフォーマット。恋心っぽいことはほぼ皆無になっている描き方で、プランタン銀座の365個のモンブラン、という福袋を話の種に。今年で終わりだから取り上げたのかもしれないけど、終わっちゃうことは云わないのね、とおもったりも。微妙にいらっとするギャルソンとか、記憶力はなくなるのに、余計なことを覚えちゃう諦めというか腹立たしさの微妙さに共感するアタシです。
オープニングの一人客が再び現れ、物語の世界をくるりと包み込みます。
移動レストランというスタイルならもうどこでも上演可能になったといってもいいと思うのです。 季節的に難しいかもしれないけれど広大な倉庫跡とか何だったら体育館ですら上演可能な気がします。機材が乏しくてもそれはそれで大丈夫そうな強度があるように思います。何となくだけれど「空中キャバレー」への高泉淳子の出演がこれにつながってるのかなぁと勝手に想像するのもまた楽しいです。
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