【芝居】「死刑台の上のイヴと電気箱の偶然の出会い」Ne'yanka
2016.12.25 18:30 [CoRich]
二回目の公演。2005年に主宰が行った誕生日イベントで上演された20分の短編 を核のひとつに据え、三つの短編から組み上げた60分。20日までCLASLA、8th Garally。
生まれる生き物を決め、仕分けする天使。蜘蛛、コモドオオトカゲ、人間のどれになるか、スタンプを押すように決めている。次の順番は人間がいいのだという。天使たちは人間は最悪の選択だというが「イヴの入る箱」
発明家は競争相手の技術で死刑のための電気箱をつくり評判を貶めようと考える。「電気の使い道」
女王への献上品のショールに仕込まれた針でお付きが殺され、職人が大逆の罪で拘束される。長い間執行されなかった死刑が決まるが、苦しませずに行うために何を使うか三人の大臣が思案に暮れる「蜘蛛女のミス殺人事件」
レトロな欧州風味の衣装と白で統一された壁、壁に書かれた謎めいた言葉。三つのちょっと不思議なシチュエーションの短編を最後に大きく繋ぐような作りになっていて、全体で一つの大きな話を紡ぎます。
「イヴ〜」は元々の誕生日イベントで上演されたものがもとになっていて、豚が蜘蛛に置き換えられたりして、全体の話に会わせた微調整をもちつつ、「そこにある箱を全部入れる箱は存在しない」パラドックスをもとに、自分と母親、祖母と永遠に繋がるリカーシブをファンタジーの風味を纏って描きます。
「電気〜」はエジソンとウエスティングハウスの間で行われた電力供給システムをめぐる確執(wikipedia)を下敷きにして、電気椅子で敵対する相手の技術を貶めようとする悪巧みを、どこか漫才風の味付けのコメディに描きます。
「蜘蛛女〜」はサスペンス風味。女王を狙ったと思われる暗殺計画をめぐる大臣三人の会話。会話のうち、大臣の中に企んでいる人が居そうな不穏さ。事件じたいはどっかうやむやな感じではあるのだけれど、前二つの物語をつなぎ合わせるような位置付けになっています。
いちおうのつながりはあるものの、エジソンは電気椅子と死刑を持ち出したいためという印象だし、女王暗殺未遂はうやむやにされた感じしないでもなくて、最初の物語の核で全体を支えて居る、という印象はのこります。が、60分にぎゅっと濃縮された話、全体の統一された雰囲気など一気にみせる物語だったり、あるいはクリスマスツリーのオーナメントを観客に飾らせるホスピタリティなど、主宰がつくりだしたい世界がコンパクトに体現されていて、個展のようなのです。
天使のひとりを演じた杉村こずえは愚痴っぽい口調がなんか楽しい。エジソンの助手を演じた藤本紗也香はコミカルに振り切って「振り回される助手」の雰囲気が良く出ています。生まれゆく子供を演じた福永理未は美しく登場し、しかし自分がしたいことを押し通すような強さ。
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