【芝居】「gaku-Gay-kai 2016 贋作・サウンド オブ ミュージック 〜 家政婦は見た!」
2016.12.30 14:00 [CoRich]
年末恒例の人気企画公演。30日まで雑遊。休憩15分を挟んで、390分。
家政婦が家庭教師として派遣された家は、国家が目指す正しい家族像を体現すべく、6人の息子たちを厳しく躾ている。国家はアイドルを売り出して国民に正しい人のあり方を導こうとしている。 「贋作・サウンド オブ ミュージック 〜家政婦は見た!」
足首冷やしちゃダメとか、友達のお母さんの胸元とか、数字や虻とか「佐藤 達のかみしばい 〜僕の話をきいてください〜」(佐藤達)
彼女はつきあう女でどんどん変化する(「れずびあん・ばさら」夏川まどか)「朗読水月モニカの百合物語」(水月モニカ)
家族とでかけた店でかつて一緒に住んでいた男が若いおとこに服を選んでいる(「春、バーニーズで」吉田修一)「女優リーディング」(関根信一)
「はがつんナイトフィーバー」(芳賀隆宏)
スーバーで買った食べ物が変化し、子供が育ち。「防弾エプロン」(西山水木)
「小夜子なりきりショウ:リヴァイタル・ニンフェア」(モイラ)
「帰ってきたジオラママンボガールズ」(ジオラママンボガールズ)
ABCの唄にのせてドレミプレート、徹子の部屋、エスムラルダ・デ・マンボ「今年もアタシ、第二部で何かやろうかねえ」(エスムラルダ)
第一部の「贋作〜」は毎年いろいろにてんこ盛りの贋作シリーズ。サウンド・オブ・ミュージックと家政婦を下敷きにしつつ、逃げ恥ダンスやスマップ風(3人だけど)のダンスを盛り込み楽しい。
が、作家の問題意識は、自分たちのアイデンティティというか、暮らし方、この国の在り方なのです。ややヒトラー風の元首が、この国の「正しい家族の姿」を提唱し、そのためのモデルとして男子ばかり6人の家族、その家に家政婦、という構図だけれど、実はその男子たちはゲイで、矯正のためにこの家にいるのだというのは、もしかしたらこの国の少し先の姿になるのではないか、という恐怖を(ワタシはゲイではない、と思うけれど)ワタシも共感するのです。
第二部はいつもの通りの盛りだくさん。30日昼は出演者が少なめ。
その穴を埋めたのは紙芝居(佐藤達)で、間を埋めるように三つを。端に座ってる観客に気を遣いつつ、もう圧倒的に常連に。
その次の朗読「水月モニカ」はレズビアンをめぐる物語の朗読。正直に云えば役者ではない人の朗読なので聞きやすくはないし、物語もわりと速い段階で着地点が読めてしまうので、ちょっと長く感じるのです。
もう一つの朗読はゲイを巡る小説、こちらは役者ですから聴きやすい。小説は半分だけだけれど、読みたいと思ってしまうのです。そういえば去年の「御馳走帖」を文庫で買って、大事に読んでたりするのです。
「はがつん〜」はポケモンしてる男の子を誘うもう独りの男、というところからのダンサブルなラップ風、楽しい。
「防弾〜」は、西山水木のジェストダンス、いままでで一番物語がくっきりと感じられる一本。何気なく魚、鳥、牛の肉を買うが、逃げ出す、弓を引く、羽をむしったりして食べ物とする。子供に食べさせる、成長する、息子を送り出す、戦場で撃つ、死体をカートに乗せるまで。ナベゲンにも似たのは共通する作家の問題意識がくっきりと表れるのです。 「小夜子〜」は美しく、もの凄く大きなドレスで登場。正面ならこれは凄く綺麗に見えるな、と想像しても楽しい。
「帰ってきた〜」は二曲でいつもの通り楽しさ。作家が無表情でバックダンサーもいつもどおり。金井克子と、もう一曲のカステラの唄がわからない。
「今年もアタシ〜」は第一部のサウンド・オブ・ミュージックから繋がるように、観客をステージに上げてドレミをプレートで上げさせる趣向。ベルを鳴らす、と言うやり方もあるけれど、これはカジュアルで余興に使えそうな楽しさ。その次の徹子の部屋パロディはいつもの通り。そしてマンボの曲で締める、というのが年末感一杯でとても楽しのです。
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