【イベント】「ゼロ年代の亡霊」(月いちリーディング / 17年1月)劇作家協会
2017.1.14 18:00 [CoRich]
劇作家協会の恒例企画。ワタシは作家・池神泰三の作品は初めてです。 60分。
青年と恋人は狭いアパートに住んでいて男は働かないでロトを買って夢ばかり見ている。大家は自分を殺せば金が手には入ると青年を煽る。
刑事は大家が消えた事件の捜査をしているが、大家の部屋の畳の下から女性の死体まで発見され謎は深まる。
青年は逮捕されるが恋人は刑事と結婚してしまう。青年の冤罪は長い時間のあと勝ち取られるが。
青年と恋人、事件があって恋人が刑事と結婚するというのが大きな物語上のポイント。自動車事故の現場、あるいは恋人が白髪の大家だったりと、長い時間の中で蓄積された想いが行き来し、時に白昼夢のように現れては消え。正直にいえば、捕らえ所がない感じもする一本。終演後のブラッシュアップで観客から意見のあった「しりとりのようで、入り口と出口が全くかわる人物像」というのはまさにそのとおりで、観客は視座をどこにおけばいいかの足がかりに弱く、これも終演後にゲスト・鴻上尚史の云う「登場人物がどう考え変わっていくかという心の旅」が見えづらく、正直ついていくのが難しいという印象があります。
終演後のブラッシュアップは、序盤こそ少々の戸惑いが観客にみえた気がしますが、思いの外の盛り上がり。それは作家が何を考えているかが判らず質問してもそれが見えてこないと云うことに起因している気がします。注意深く、ものがたりはどうあるべきかを作家の意図を探りながら探す参加者たち。それはそれでスリリングな体験だったのです。
作家から参加者への質問では結末はこれでいいのかとか、青年と恋人と刑事の関係を明確に語ってしまっていいのかなど細かな点を気にした質問が多いのだけれど、正直作家自身が描こうとする「心の旅」という芯が何かをはっきりとさせてからが全ての始まりで、そこに作家が気付けたかどうかが少々心許ないなと思ったりもするのです。 年代というタイトルに対して中身は明確に昭和ではないかという指摘もあって、作家の答えは「正義が多様化していることの象徴としてのゼロ年代」ともいうけれどそれはその時代特有のものなのかは今一つわからず。
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