【芝居】「トナカイを数えたら眠れない」イマジネイション(10周年記念公演[イマジン]①)
2016.12.7 20:00 [CoRich]
平日20時開演がありがたい。100分。18日まで劇小劇場。 小劇場の役者が多く所属するマネジメント事務所・イマジネイションの10周年記念シリーズのうちの一つ。
小さな民宿のリビング。毎年クリスマスイブになるとクリスマスを断固として祝わないと決めた元ボート部の三人の男が泊まりにくる。オーナーの女もそれに同調し、断固として祝わない一日を毎年過ごしている。向かいのホテルではクリスマスソングが流れ騒がしい。
今年はオーナーの女は結婚し、夫が手伝っている。珍しくオーナーの妹も訪れるが、その妹を訪ねケーキ職人の男がケーキを作ってやってくる。クリスマスは祝いたくないが、ケーキ職人はかつて学校で激高して後輩にボールペンを突き刺したことがあるのだという。
MONOの土田英生による原作。劇団ページによれば、1995年、今は亡きOMS(扇町ミュージアムスクエア)での「Holly Night」、2010年に改題した「トナカイを数えたら眠れない」が上演されています。 かつてのMONOのメンバーが目に浮かぶよう。ああ、水沼、奥村、尾方、金替、土田、そして女性二人は西野千雅子 増田記子。この彼がこの役者で、というぐらいに透けて見えてしまうのです。正直に云えば、MONOの役者だから成立する、という雰囲気で進む物語。それは役者がこういう人々を演じてきた、という積み重ねの上に成立するので、他の役者でやるのはなかなか難しいところではあるのです。
仲いい男同士の年中行事、かといってもあの時の嫌な気持ちは沈殿していて、徐々に変わることも変わらないことも積み重ねてきて、もう潮時という感じ。 クリスマスを無視しようという提案はおそらく女性のオーナーからではないかと想像しますが、クリスマスを亡かったことにしたい気持ち。記憶を無くした妹、というのは少々唐突だけれど、それを終盤に向かってねじ伏せるような熱量の物語。対面でトランプを続ける女二人、それぞれの人間だったり、裸の気持ちだったりという終幕は、やっと前に進めそうな気持ち。
姉を演じたザンヨウコ、自分の中で上書きした筈の記憶が復活する戸惑いだったり。決して清廉潔白で生きてきたわけでない複雑な役をしっかり。妹を演じた宮本奈津美は、あんまり気にしないサバサバした感じだけれど、亡くした記憶の齟齬を感じ始める頭の良さ、ふわふわとした衣装も可愛らしい。ボート部の男を演じた長谷部、いわゆるツッコミの役割というよりは、ちょっとした補足。なかなか無い役でめずらしい。
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