【芝居】「男子校にはいじめが少ない?」趣向
2016.11.11 19:30 [CoRich]
初めてのフルスイング公演、90分。王子のあと、生バンドと清水那保を加えた横浜バージョン。12日まで、のげシャーレ。ワタシは30分の短縮版、リーディングに続いて三回目。
今作では「男子高校生」という役が加えられ、冒頭にあの頃の自分を俯瞰しているような場面があったりいくつも曲が加えられたりして変化し続けています。前回がリーディングだったのでなんとなく平面な印象だった芝居には、ダンスが加えられ、奥行きのある空間を生かします。更に東京の上演にはなかったという生バンドや男子高校生役を清水那保が演じるなどの特別感。
男子校で暮らす三年間、親しかった同級生の女子が急激に成長し大人になっていくこと、それに比べてわりと子供のままに大学生になった男のはかない恋愛風味は今作の柱。当日パンフで作家は高校生たちが本当に愛おしく、というようなこと書いているけれど、なるほど、男子高校生のなんというか童貞っぽさというかちょっとバカっぽい感じだったりを見守る視線は実に温かいということが改めて見えたきがするのです。もちろん高校生特有の未来への万能感も、何になれるかわからない不安もそのままのテイストに。
新しい役者を入れ、あるいは前回の出演者も一部の配役を入れ替え成長し続ける芝居になっています。前回の印象がわりと強く、見慣れた役者が多いということもあって、今回は初めこそちょっと違和感を感じたりします。
前回はもっと幸福感を感じて観ていた気がするけれど、今作では物語全体に不穏な雰囲気をより感じるようになったアタシです。「死ぬのと世界が終わるのとどちらが先」なんていう台詞、前もあったっけ、というぐらいに記憶力がザルなのですが、前回とは変わってしまった現実にリンクし少し引きずられるようにこの世界すらも絶対ではなく。「高校生の思春期の気持ち」」を描いているけれど、将来に対する不安は観客であるアタシたちのものでもあると、気持ちに迫ってくるように感じるのです。
初演と同じ自転車を演じた大川翔子はもう彼女以外には考えられないほどのはまり役で安定感。女子高生・石鹸玉を演じた窪田優は前回の原田優理子の圧倒的な安定感に比べるとちょっと不安定な未成熟さが勝る印象でだけれど、もちろんこれはこれでアリ。歌唱指導を兼ねる中谷弥生は不安を抱える男子高校生を前回に続いて丁寧に。
2014.11 リーディング@青少年センター |
2016.11 @のげシャーレ |
|
---|---|---|
自転車 | 大川翔子 | ← |
竹蜻蛉 | 本間玲音 | 三澤さき |
虫眼鏡 | 中谷弥生 | ← |
糸電話 | 飯塚ゆかり | 本間玲音 |
野次馬 | 三澤さき | 和田華子 |
水鉄砲 | 平佐喜子 | 関森絵美 |
微生物 | 辻村優子 | 飯塚ゆかり |
博物館 | 伊藤昌子 | ← |
宇宙人 | 清水那保 | 小川碧水 |
石鹸玉 | 原田優理子 | 窪田優 |
男子高校生 | - | 清水那保(横浜公演のみ) |
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