【芝居】「コーラないんですけど」渡辺源四郎商店
2016.11.18 19:30 [CoRich]
渡辺源四郎商店のもう一人の作家、工藤千夏による4人芝居。 20日まで渡辺源四郎商店しんまち本店2階稽古場。90分。そのあと年末年始にこまばアゴラ、津あけぼの座。
母子二人暮らし。子供のころはあんなにお母さんと慕っていたのに、学校に行けなくなり、家に引きこもるようになっている。母親が親戚から教えて貰った就職先はロジスティックだと言われているが。
テーブルとソファ、ごくシンプルなセット。 幼い子供を三上、引きこもりの息子は工藤という具合に看板俳優の三上晴佳・工藤良平の二人が息子と母親を入れ替わりながら演じます。
5月の上演作に続き戦争にまつわる物語。今作では民間軍事会社による「安全な場所」への派遣という物語だけれど、ちょうど青森駐屯地からの派遣の直前という時期、あるいは民間軍事会社による派遣という世界の趨勢にリアルにリンクするのです。
ネタバレかも
物語の要となるのは引きこもった青年のパートで、母親が探してきた「ロジスティック」の仕事に興味を持たなかった息子だけれど、銃撃戦のゲーム内での評価からちょっとその気になって登録してしまう息子。それが本当の戦場と気がついた時には既に遅く。世の中から品薄となっていたコーラを探し回ったとの同じ息子への一途さから、母親は息子のふりをして戦場に赴こうとするがそれがうまくいったのは序盤の夢。実際にはそんなことはなくて。銃で撃たれる夢もまた、自分は助かったけれど足下には別の、敵か味方かはわからない死体が。
戦地から戻った息子に見えたのは、痴呆の進んだ母親。姿は違うけれど、イマドキの岸壁の母の姿なのです。
幼い息子、息子が成長してからの母親、老いた母親の三世代を演じた三上春佳は、時間軸のみならず、コミカルとシリアルの地続きのスムース。老いへ向かう場面でのモーフィングのようなシーンにも目を見張ります。 息子が幼い頃の母親、成長してからの息子を演じた工藤良平。幼い息子にとってひたすらに大きな存在である母親、成長してからはむしろ母親よりは大きくなる息子の姿、さらには戻ってきて母親を包み込む大きさ。同級生の女の子やらアルバイトを演じた音喜多咲子はコミカルを加速するよう、しっかりとサポート。日替わりで演じられる「迎えに来る男」などを演じた佐藤宏之、人の良さそうな、しかし不穏な男をかっちり。
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