【芝居】「悪巧みの夜」同級生演劇部
2016.11.4 19:30 [CoRich]
1984年生まれの三人による演劇ユニットの旗揚げ。 80分。6日まで梅ヶ丘BOX。
男が勤めほぼ住んでいる小学校の技術員室。孤児院で同い年に育った女二人が集まる。雑誌ライターとなっていた女が同じ里親に引き取られた後輩の行方がわからず探したいのだという。
行方不明の女の部屋で見つけてきたのは、人身売買にまつわるいくつもの資料となる本だった。孤児院院長の初代が4年前に辞めたあとを継いだ息子は住ぐにやめ、現在の三代目は海外の養子縁組で実績を積んだエリートになっているという。
小学校の技術員室の薄暗い部屋に集う人々、孤児院でそれぞれの人生を歩んでいてもあの頃からずっと一緒に生きていた信頼感。何か困ったことがあれば相談するし、相談されればそれが馬鹿馬鹿しいと思っても最大限に助けたいと思う気持ちをずっと持ちづけていた人々。
参考資料にあるとおり、人身売買に関する物語を根底に。失踪を調べ始めた最初の段階から人身売買の本が見つかったりしつつ、半信半疑で調べてみれば園長の交代も怪しければその背景も、あるいは写真も怪しい。切り込んでみれば返り討ちにあったりはしながらも物語そのものは最初にうっすら見えた着地点に向かって真っ直ぐ進み、終幕は園長のその後もドアの向こう側に来た人も、行方不明の女の本当の行方など、明確に結論を示さず、想像にゆだねるように作られていて、見た目に反してサスペンス要素は薄めな気がするのは惜しいところ。 そういう意味では物語の面白さというよりは、芸達者の役者たち三人のあれこれを楽しむ一本ということかもしれません。彼らがやっていることがそれほど「悪巧み」でもないのはまあご愛敬。
ハンマーを持ち出し、人を殴り殺してもいいと考える男(須貝英 )と女(佐藤みゆき)が興奮し激昂しているところを、泣いて止めるもう一人の女(浅野千鶴)のシーンの迫力。その直後なんとか押しとどめて、ほんの一言で笑い合い、冷静に戻るシーンの落差と、ぴたりと止まるシーンのある種の「精度」にちょっと驚くのです。
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