【芝居】「ある学会報告」micelle(第21回まつもと演劇祭)
2016.10.29 14:00 [CoRich]
ワタシにとっては初めて観る「ある学会報告」を、初めて観る札幌の劇団、一人芝居(櫻井ヒロ)で。30日までふれあいホール。60分。
アフリカで捕まった猿が人間に進化し、人間たちの前で自分のこれまでを講演する。
普通の人というか前説ぐらいの体裁で観客の前に姿を現し、そこから徐々に芝居に入っていくスタイル。ダンスからの役者だから発想できたかと思うのは、猿という動物の身体の動きを真似ることで、人間と猿とがそう遠くない地続きなのだということ。序盤でのそれは、身体の動きというか肉体のありかたで、役者が半裸になるとそれはいっそう明確になるのです。それは物語が進み、人間につかまり船で檻に閉じ込められ、その前を行き交うさまざまな人の仕草を真似ることで様々なバリーションが生まれてもなお共通の「人間と猿」の肉体のありかたが見えてくるよう。
酒を呑む仕草、パーティでそれを観た人間たちが喝采するのだけれど、当の本人(の猿)はずっとフラットで居続けて、喝采に喜ぶ風でもなく。仕草が人間であればそれは人間なのか、あるいは猿が「進化」というかより「進んだ」結果が人間、という一般的な思い込みは本当なのか。そういう自問自答がアタシの頭の中でぐるぐるするのです。
後半では彼の心のありようとしては「自由を手に入れた」ということではなくて、「出口を求めているだけ」なのだという台詞があって、人間だと認められここで講演をするに至ったのは単に(出口を求めた)結果でだという結末。それは本人はほぼフラットであり続けたのに、周りの評価が変わっただけなのだ、という孤高で崇高な雰囲気すら漂わせて、それは実にカッコイイのです。
遠く札幌からの参加、演出の奥さんと子供を連れてというツアー。開演直後こそちょっと騒いでいるけれど、芝居が始まるとしっかりと静かになる、という役者の子供がまた楽しみでもあったりして。
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