【芝居】「GONG!」信州大学劇団山脈(第21回まつもと演劇祭)
2016.10.30 12:00 [CoRich]
信州大学の演劇サークルもこの演劇祭の常連で、一緒につくりあげていくというのもこの街ならではの演劇祭のありかたなのです。60分。ふれあいホール。
代々鐘をつく仕事を受け継いでいる家。かつての戦争の戒めのための鐘という記憶も薄れ、新たに国王となった男は鐘をつくことを禁止し、 武力を強化し川の向こうの国に先制攻撃をしかけることを目論む。
右への動きなどイマドキの日本の姿に少し重なるようなモチーフを、童話のようなどこかの国の物語という語り口で描く物語。自戒のための鐘というシンボルを受け継ぎ続けてきた国なのに、それが元々どういう役割のもので受け継いできたのかという記憶が薄れているという雰囲気もちょっとイマドキのあたしたちの姿に重なります。
軍事研究を優遇する政策によって恩恵をうける研究者というのももしかしたら研究と研究費を身近に感じる大学生、ということなのかもしれません。
呑気とも言える日常の日々を過ごしていた人々の暮らしが急速に変化しいきつくエンディングは決してハッピーではありません。花火のように美しく空を彩る火に少しばかり眺める民衆は何も知らず、真実を知っている権力側は諦めた終幕の風景、人々の笑顔とやけくそが交差するバッドエンド。
日々の暮らしが締め付けられたと思ったら急速に滅亡に向かう、という物語を若い彼らが紡ぐということがちょっと寂しいような気はしつつ、もしかしたらそれは彼らにとって切実に感じる現実の世界の映し鏡ということなのかもしれません。
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