【芝居】「チキンな卵」ごったに(第21回まつもと演劇祭)
2016.10.29 18:00 [CoRich]
まつもと演劇連合会が毎年主催する「芝居塾」の修了生による公演。今年は講師陣が変わって、コミカルでちょっと社会派の物語60分。
その学校は世間の荒波を教えようとして、 学科の成績とは別に「人間の価値」という尺度を全生徒につけている。それはスクールカーストから教師からの信用に至るまですべてに影響している。
教育実習がまもなく終わる実習生。生徒の一人から助けを求められこの制度を知り疑問を感じるが、なにもできないと半ばあきらめ、実習期間を終わろうとしている。
物語の前半で太宰治・女子高生について言及し、社会に出る前、いろいろ思うことはあっても大人の前では正しいと思うことを言い出せないという枠組みをつくります。それをもう一歩踏み出して正しいと思うことをきちんと言おうとする成長を描くのです。なるほど、気弱(チキン)な、卵たち。芝居塾の公演によくあった雰囲気の物語。
終盤、放送室から半ばテロのように全校生徒に向けてそれはおかしいと訴えかけ、それが実習生のひとり、実は教師になりたくなくて小説家になりたいという女が共鳴するのです。全てが解決できたわけではないですが、次の一歩を踏み出せそう、というのが希望になるのです。
小説になりたい女を演じた幅下かおりは、やや面倒くさそうな序盤だけれど、最後に希望の一歩にみえる嬉しさ。ずっと顔を美容ローラーでこすってる学年主任的な教師を演じた篠原誉は、コミカルだけれど、絶対に信じているものは譲らないある種のヒール感をしっかりと。
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