【芝居】「天気輪の森の物語」タヌキ王国(第21回まつもと演劇祭)
2016.10.29 10:00 [CoRich]
去年の演劇祭では「ごったに」の指導側だったタヌキ王国の舞台は、ミニマムな二人芝居を銀河鉄道の夜から着想して。60分。30日まで。アタシの観た土曜朝の回は超満員で会場の鏡が曇るほど。
死期が近づいた男、介護士が手助けしているが、、目が見えなくなったり身体がきかなくなったり。七日かけてゆっくりと人は壊れていく。
銀河鉄道はその派生作品含めても「カムパネルラ」と「ジョバンニ」の二人の物語として描かれることが多いと思うのだけれど、今作で焦点を当てたのはザネリ。「人の死」という大きなトピックのきっかけでありながら、助かった方のザネリの側の視点で物語を捉え直し、70歳になり死期が近づいている、という枠組みで物語は進みます。
もちろん、人の死は痛ましいけれど、自分のせいで友達が亡くなってしまったという十字架を背負い続けて何十年も生きてきた男の心が厳しいものであったか。銀河鉄道の一部を抜粋したような静かで美しい場面をフラッシュバックしつつ、現在の年老いた男がゆっくりと死に近づいていくこと、老いていくことの自覚というのが多少なりとも感じられる今だからこそ味わえる奥深さ、という気がします。若い頃だったらここまでは深く気持ちに入り込んで来なかっただろうなぁと思ったり。
一つの面が鏡張りになっていてバレエスタジオのような空間は鏡の向こう側という(見た目の)空間の広さと、そこにぎゅっと人数が詰まった濃密な空間のギャップも楽しく。演じた二人の役者、曽根原史乃、三井淳志は何の問題も無い役者で安心して観られるのです。
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