【イベント】「夜明けの街に清き一票」(月いちリーディング / 16年11月)劇作家協会
2016.11.12 18;00 [CoRich]
2015年12月にエビス駅前バーでの初演作をブラッシュアップリーディング。ワタシは今作初見です。動画がしばらくのあいだ公開されています
バーを初めて訪れる男、実は子育てのしやすい町を作り上げた人気の市長だが今期で辞めることにしている。バーテンダーの女を口説きたいフリーター男は店長が休みと聞いて訪れ、就職したらデートしてもいいという約束を取り付ける。その男の元カノはこの店の常連で宝くじで百万円が当たり、それを供託金として男は市長への出馬を考える。
三浪した大学生の男は彼女を妊娠させてしまうが、親にそうだんするでもなく、二人で隠れるようにアパートでの二人暮らしを始め、未受診のまま日が経ち身元を明かさなくて出産できるという医者を探し、5時間もかかる電車に乗る。
女子高生の妹、彼氏がクリスマスにバイトのシフトを入れたといい怒っていて、兄がなだめているが怒りはおさまらない。
時間軸の異なる幾つかの場面を断片で示しそれが後半に至り一つに繋がるのが作家の最近の作家の持ち味のようで、10月に観た一本も同じ作家のものでした。短い時間でするすると繋がりパズルのピースが埋まっていくのは観客にとっても間違いなく快感なのです。アタシは同じ場所で行われたエビス駅前バーでの初演を観てないけれど、リーディングだけでもトイレとドア、というあの場所の構造ゆえの芝居になっていることに驚きます。その情景が目に浮かぶよう。
デートの条件が就職で友達の百万円で市長選出馬して就職したことにしよう、とか大学生の望まない妊娠の悲劇からの市長就任とか、あるいは市長が顧みなかった家族は女子高生のたったひとりの娘で精神を病んでいるということだったりがそれぞれのピース。正直にいえば、ちょっと都合が良すぎる感じはありますが、それよりもひっかかるのは(当日のディスカッションでも指摘があったけれど)大学生の男のひどさ。もちろん、それがあとの善政な市長に繋がるという物語の運びの上での意味は勿論あるけれど、未受診のまま5時間も電車にという無茶さが、大学生とはいえ未熟に過ぎるのではないかとか思ったりして、全体に漂うコミカルさと、このあたりのバランスというか座りの悪さに違和感があります。
彼氏がクリスマスにバイトのシフトを入れたことに激怒する女子高生のシーンが好きです。付き合って日が浅くて付き合う前に入っていたバイトのシフトは仕方ないと考えるのが普通のところ、クリスマスにバイトのシフトが入ってるのに告白してくるのは不誠実だという無茶振りに大笑いしたアタシです。
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