【芝居】「亡国の三人姉妹」東京デスロック
2016.10.16 14:00 [CoRich]
三人姉妹をわりとそのままに。 16日まで横浜・赤レンガ倉庫1号館・ホール。京都、香川、新潟、埼玉を巡ります。140分。
育った町に戻りたいと願う人々、それが叶わないという絶望感とそれでも前に進んで行く、という決意、というのが三人姉妹の骨格だと思ってるアタシです。それはほぼそのままに受け継がれています。 大きなテント、毛布が敷かれ段ボールが積み上げられ、色んなモノに水玉のように穴、弾痕を思わせる雰囲気。序盤では乱雑に置かれていたそれぞれが後半一度はかたづけられ、先に進めると思った後、こんどはそれぞれの人のパーソナルスペースを作るかのように毛布が並べられ段ボールで仕切られます。 台詞も物語も三人姉妹だけれど、視覚的には難民キャンプだったり、あるいは避難所という雰囲気なのです。終盤ではガスマスクをベビーカーにのせた子供につけ、銃を横に置きという具合に不穏さを増したまま終わります。
「三人姉妹」そのままとはいいながら、わりとテキストを抜粋し、再構成し、時にぬいぐるみに演じさせたり、時に無対称の一人芝居のように演じられたりと演出はかなり特異で不穏さを強く押し出す形に。明確に意図をもって創り出す演出家ですからきっと何かがあるのだろう、と思うけれど、これが正解という自信は持てないアタシですが、終幕でさまざまなものをベビーカーに詰め込む感じは、いろいろなものを次世代に丸投げしている雰囲気。
正直に云えば、三人姉妹という物語と、視覚的に見える風景、あるいはぬいぐるみや人形を人物に見立てるさまざまが、まったく別個のものとして舞台上にあって、それはコラージュのようには感じられても、一つの塊になって受け取れないような印象が残ります。もっとも、何かを訴えたいというわりと強い衝動はもちろんあるし、元々の三人姉妹をぼんやりとしか知らなくても、あるいは少々懲りすぎた演出でも、アタシでも飽きずに最後まで食い入るように見てしまう強度があるので、しっかりと作られた芝居を観た、という満足感はあるのですが。
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