【芝居】「うつくしい世界」こゆび侍
2016.9.25 13:00 [CoRich]
2011年初演作 2011 を改訂再演。9月25日まで駅前劇場。125分。
2011年の時代を反映してかのデストピア的世界を描く再演作、当時とは役者も大幅に入れ替わりましたが、物語の寓話的な世界の描き方は変わらず、当時ワタシが感じた、「ダブリンの鐘突きカビ人間」のフォークロアな雰囲気という感想も、「ちくくうき」という言葉に違和感を感じることも初演と変わりません。初演のサンモールスタジオから今作の駅前劇場への変化は意外なほどなくて、それは初演時点からきちんと厚みのある物語を完成度高く創り出していて、それを違う役者で丁寧に紡いで創り出したのだということだと思うのです。
例によって記憶がザルなアタシです。セロハンテープという文明の利器で「ちくくうき」を補修することも、いろいろなモノをあつめて土にしている貧民の存在も、わりと忘れていて、それぞれに新鮮な驚きがあったりもします。
行動する少女を演じた島口綾は初演(浅野千鶴)とは全く違う造形で不器用さの中できちんと前に進む力強さで、彼女の得意なところに寄せた感じはあるけれど、物語を確実に牽引する力。母親を演じた渡邉とかげはおだやかに息子を見守る気持ちを丁寧に紡ぎます。ついに母親かぁ、というのは初演(廣瀬友美)でも同じ感想を書いているじぶんい驚きますが、なるほど、若くて綺麗な母親、というのはひとつの美しい世界というニュアンスなのかもしれません。告げ口する夫婦、とりわけ妻を演じた工藤史子はヒールな役をきっちりコミカルに。貧民を演じた大手忍は前半こそ不穏な空気だけれど、声ともならない奇声を上げてきちんとニュアンスを作り出す後半に確かな力。
おだやかに語られる物語を丁寧に積み上げて作った再演は、もう一歩劇団のマスターピースというポジションを確実なものにしているのです。
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