【芝居】「小石光り」ナオサク企画
2016.10.16 19:00 [CoRich]
今年1月の初演作。28日からのまつもと演劇祭への参加が決まり、それを前にしての地元で16日ワンステージだけの上演。 横浜・港の見える丘公園のすぐ近くの岩崎博物館・ゲーテ座ホール。70分。アタシは初見です。
ケアハウスの老女の回想。
子供の頃の兄と母、星を見たり兄弟げんかしたりの日々。教師となった頃、教え子を亡くしてしまったこと。
結婚し夫との日々、そろばんしたり息子とギター弾いたり。息子が結婚して家を出た後の二人。
死期が近い老女の現在は看取る側を含めた第三者の視点、回想の部分は老女の思い出という形をとり、記憶のかけらをいくつか、時に時間が前後しながら進む物語。その全体を見ている「少年」は自らを死神と名乗ったりもしますが、全体に穏やかで静かに語られる物語はどこまでも優しさでいっぱいなのです。
当日パンフによれば介護士そして介護にまつわることがらのライターとしても働く作家の体験をベースにしたといいます。 終末期を見守る、という作家自身が持つ日々の視点に立った物語は、穏やかに見守られ看取られることがなにより一番だ、という一貫した価値観で組み立てられていて、そういう意味ではドラマチックな起伏によって物語を進めるという手が使えませんから、観客との間にいかに共感を紡ぐかというのはけっこう高いハードルなように思います。
介護とか看取りということも、たとえば配偶者を得ることも、子供と暮らす日々、あるいはその後の夫婦二人きりという時間軸など、いくつも丁寧に仕掛けられたフックだけれど、まだ親は元気で独り者なアタシには、ほとんど引っかからないのはちょと寂しいけれどそれは作家の責任ではありません。観客のバックグランドを試されてるような気もしますが、考えすぎか。
父親を演じた石毛誠はクラウンとして活躍するちょっと洒落た人、という生を知っているアタシだけれど、普通のオジサン、という説得力に驚きます。ギターもカッコイイ。介護士を演じた金色城のフラットな明るさ シンプルにいくつかの箱馬だけで組み立てた舞台。ゲーテ座ホールの規模、あるいはもっと小さな規模にはよくフィットするけれど、この週末のまつもと演劇祭の舞台は古い映画館でタッパも高く広い舞台。どうこれが変化するのか、あるいは変化しなくても大丈夫なのか、しかと見届けたい、と思うのです。
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