【芝居】「pion」五反田団
2016.10.22 15:00 [CoRich]
去年初演された作品の再演だそうですが、ワタシは初見です。北海道のあと、アトリエヘリコプターで23日まで。90分。
その気をもてない男は女と別れるが元カノは納得していない。直後にくどかれ続ける女は受け入れないが、何年か一緒にでかけるようになる。訪れた動物園で幻の動物「パイオン」に一目惚れした女は虜になり、毎日通うようになり、やがてパイオンの檻に入り一緒に暮らすようになる。 何年かかけて人間のようになりつつあるパイオンだが、元々の獣の習性は消えず、 友人に相談するうち、男の元カノがカラスにおそわれ、家に送ることになるが気がつくと監禁され、ネズミの王・ドロネズミの后となるよう、だんだん獣になっていた。パイオンの妻となっていた男の元カノが手引きした。 ドロネズミは醜く殺し、パイオンの妻も殺してしまう。 ドロネズミの子供を宿している女を、パイオンは抗争相手として受け入れられない。思い続けていた男はそれをうけいれるという。
女に惚れた男、惚れられていてデートを重ねたりはしていても恋人になる気のない女、獣への一目惚れ。三人の男女の愛のままならなさをコミカルを交えて描きます。つれない男とそれでもつがいになって、暮らしていくうちにそれぞれがちょっと似てきたりして。しかしはらんだ子供が「敵」の子だとすればそれは受け入れられないという種族にとって超えられない一線があったり。パイプで組まれたジャングルジムと、ベッドひとつだけというシンプルな舞台だけれど、描き出されるのは、男女の細やかな愛情を丁寧に描くのです。
一方で、惚れる惚れられる、あるいは種族の違いの関係はフラットではなくて、どこか「上から目線」が言葉の端々に見え隠れするのが少し不穏で、奥行きを持つのです。
前田司郎を役者で観るのはずいぶん久々な気がします。見え隠れする愛情への変化が見えるような見えないような 粗暴な獣のそっけなさ。あるいは男に捨てられた元カノの女装姿も、ちょっと面倒くさい感じで楽しい。男を演じた黒田大輔はずいぶん痩せた気がしますが、なんか妙にきりりとカッコイイ瞬間があったりもします。追いかけ続けるストーカーっぽさは良く考えると怖いところなんだけれど。女を演じた鮎川桃果は本当に美しく、それなのにとち狂って「美女と野獣」。コミカルな間合いも絶妙でシンプルなスリーピースのステージの一角を担うのです。
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