【芝居】「OKINAWA1972」流山児★事務所
2016.9.18 14:00 [CoRich]
沖縄ヤクザを巡る物語、昭和のヤクザ映画っぽいアクションと華やかなエンタメとして成立させた110分。早稲田の演劇祭のオープニングを飾る詩森ろばの新たな一本。10月2日までスペース早稲田。
沖縄返還1976年前後。基地からの物資の略奪と再分配や用心棒をしていたをしていた男たち、ならず者たちを組織的にまとめ上げたのは、沖縄の本土返還が迫り本土からの進出を狙うヤクザたちへの対抗のためだった。
かなり狭い劇場なのだけれど、そのせまい場所を頻繁に入れ替えるようにセットチェンジのように迅速に入れ替えつつ、華やかなキャバレーから血で血を洗う抗争の現場まで一カ所できっちり作り上げるのです。鉄パイプをぶつけ合うのも効果音ではなくて、ほんとにぶつかり合う音がするのは迫力もあるし、ライブの魅力がいっぱいに。
物資を盗んで人々に配るある種の鼠小僧というか愚連隊、それが本土からのヤクザの攻勢に対抗するためだと考えて組織化されていくという流れが事実だというのは、wikipediaで読んで初めて事実と知るアタシです。じっさいのところ、語られる物語というか男たちの関係はこの構造を背景としてしっかり先に描き込んでおくことが大切なのだけれど、 この込み入った前史を話をマンガのように軽やかに、ダンスだったりプラカードまで使って描いていくエンタメ的な楽しさもまた演出の確かなちから。
もちろん、沖縄の返還に併せて基地を撤廃できなかったことや(沖縄返還にあたっての付議としての)非核三原則(wikipedia)のありかたなど、現在と地続きの問題として物語の背景に描き込むことは忘れない作家。その視点の確かさはもまた、作家の編み上げる力。
それぞれのリーダーを魅力ある人物として描くために配された役者陣がまた実にカッコイイ。流山児祥を首相というのはちょっとした洒落っぽさ。空手道を突き詰め、妻を愛する男を演じた杉木隆幸がは奥行きもある種の味わいまであって安定感。首相の片腕となった男を演じた酒巻誉洋は時にダンディにタップを決め、時にコミカルだけれど、裏を動かす誠実な男をしっかりと。
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