【芝居】「ここから見えるのはきみの家」トリのマーク(通称)
2016.10.23 14:00 [CoRich]
23日までザ・スズナリ。75分。25年続いた劇団としての活動の休止を発表していて最終公演だけれど、終演後に配られる「絵本」でこれまでの公演場所のイラストと、最後に謝辞が述べられたほかは、実に淡々と。
閉じこめられていて逃げ出した男。テンガロンハットの人は相棒を志望する人につきまとわれ。見学に訪れた男は髭の人に案内され、見て回ります。
何らかの場所を意識して紡がれる物語、時間も場所も、人物すら実はあまり明確ではなくて、「トリのマークの世界」としかいいようの無い世界を作り出すのはいつものとおりで唯一無二なのです。
いくつかの断片があるようには思えます。颯爽と走るテンガロンハット、相棒はいらないか話しかけるのはポワンとした見た目。相棒はいらないといいながら、あっさりとぬきさってしまう相棒志望。なにを表しているかはさっぱりわからないけれど、トリのマークの二人、山中正哉と柳澤明子を勝手に重ね合わせ、なんだかんだいいながら二人で歩んでいるという雰囲気を勝手に感じ取るアタシです。
ちょっと異質に感じるのは、監視カメラを巡る会話で、何処の家でも監視カメラが当たり前で、はずそうと思えばはずせるけれどみたいな会話。会話の応酬といったリズムで、ここの会話の密度が高くて、しかもちょっと何かの問題意識があるようにすら感じるアタシです。
舞台の板をはずすと下にある奈落だったり、妙な場所にある舞台上手の扉だったり、あるいは「劇場がある」といったり、この場所に対しての描写もうれしい。
最終公演とはいっても淡々としたもの。もちろん、二人による「カフェこぐま」という場所がちゃんとあって、それが評価もされていて、いつでも会いに行けるのが気持ちの救い。看板女優・柳澤明子が出演しないということには少々肩すかしを感じるアタシではあるのだけれど。 ちょっと異質に明確に語られるのは監視カメラの話。ここだけは台詞テンポも早く、監視されるのが普通になっていて、それを外すということも可能だけれど、という不動産屋風のが話だったりと、やや批判的な語り口なのです。
パンフはこれまで公演した場所のイラストを。25年間ありがとうの言葉とともに。
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