« 【芝居】「わたしはミシン」チタキヨ | トップページ | 【芝居】「ムーア」日本のラジオ »

2016.10.18

【芝居】「黄昏バックオーライ ~I'm waiting for you..~」レトロノート

2016.10.9 13:00 [CoRich]

初見の劇団ですが、前身劇団を併せればすでに15周年。 10日までザ・ポケット。90分。

40間近で独身の男たちは飲み明かす毎日を送っているが、そのうちの一人が結婚を決める。相手は地元高校の演劇部出身、東京に出て女優になり地元のスターだった。
時を同じくして、男たちの同級生の上京していた男が地元に戻ってくる。かつて組んでいたバンドを再結成する話で盛り上がるが、結婚を決めた男のかつての妻がそのボーカルで、彼女はもうこの世にいない。再結成がどうしても許せないメンバーもいる。

建て込んだセットに市井の人々の人情喜劇の味わい。前はこの手の劇団をもっと観ていたけれど、そういえば久しぶりな感覚。笑いの雰囲気に浅草を感じるのは座長・深沢邦之を萩本欽一からの流れとしてアタシが理解しているからかもしれません。あるいは(女性は出演しているけれど)カクスコに近い雰囲気を感じるのも市井の冴えない男たちの、本人たちには重大だけれど他人にとってはどうでもいい話を丁寧に描いている、ということなのかもしれません。浅草発祥の軽演劇の現代のありかたのひとつ、なのかもしれないとぼんやり思ったりもします(違うか)。

いい歳をした男たち、過去には確かに皆の中心にいたマドンナが居なくなってから止まっていた時間。女たちはそれを温かく見守っているという構図に、夫婦の娘や若い工員という軸を加えてしつらえた舞台。そこに、若い頃のマドンナそっくりのまったくの他人が現れる、ファンタジーファンタジー。恋心が再燃したりはするけれど、それは単に火を付けるだけで歳の差の恋が埋まったりはしないのはもちろん、現実にあり得そうなこととの程よい匙加減。

あるいは上京していて女優になっていて地元の星だったはずの女の伸び悩み、東京にしがみつかなくても、身の丈にあった生き方がある、というのは少々ほろ苦く、いい歳になってきたアタシにもずしんと響く物語を、しかし軽やかに描くのです。

なにより印象に残るのは母親を演じた長谷川紀子。軽く見えてきっちりと人々を見守るポジションだけれど、 深沢邦之との夫婦の掛け合いのテンポの軽快さと間合いの絶妙はちょっと凄い。

|

« 【芝居】「わたしはミシン」チタキヨ | トップページ | 【芝居】「ムーア」日本のラジオ »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「黄昏バックオーライ ~I'm waiting for you..~」レトロノート:

« 【芝居】「わたしはミシン」チタキヨ | トップページ | 【芝居】「ムーア」日本のラジオ »